日本での確定申告 – 永住帰国後、税金はどうなる?

もはや、永住帰国支援サイトになりつつあるこの年金ブログですが。

日本国内において公的年金以外の収入が無い方は確定申告をしなくても良いという制度がありますよ、と以前のべたことがあります。 実際、アメリカに住んで長いクライアントさんの99%が、これまでも一度も日本の確定申告を行っていません。

では日本に永住を決めて帰国される方はどうなのか?と言いますと、やはり同じです。帰国後において公的年金以外の収入が無い場合、確定申告は不要となります。

年金受給者のための確定申告不要制度

ただしくは、「年金生活者のための」と言った方が良いですね。

では、公的年金(日本とアメリカ両国の老齢・退職年金等)以外にも収入がある人の確定申告はどうするのか? たとえば、401Kや個人積み立てなどの私的年金(Pension) 、キャピタルゲイン(株そのほかの投資)を保有している場合、日本でどう申告するのでしょうか?

私は税理士ではありませんが、クライアントの永住帰国の手続きお手伝い&日本国内の不動産のとり扱いにおいて確定申告の時点でかなり苦労しましたので、ここでは経験上のお話をしたいと思います。

市民権あるいは永住権における注意点

です。

これまでにも書いていますが、アメリカの市民権や永住権(グリーンカード:I-551)を維持したまま日本に居住している場合には、世界中のどこかで発生した収入において税申告(タックスリターン)を IRS (連邦歳入庁)に対して行う義務が生じます。

これを忘れるとペナルティ(懲戒金)がつきますので、くれぐれもご注意下さい。 その上で、

既に IRS に申告している所得税等(キャピタルゲインも含みます)については、日本国内では「外国税控除」という控除枠がありますので、これを利用すれば両国で2重に課税(ダブル課税)されることはありません。 ここで注意頂きたいのは、 IRS に対して既に税申告してますよ、と証明する書類が必要だということです。

一方、市民権、グリーンカードを既に放棄している場合、つまり日本国籍を保有する日本人として日本に居住している場合には、ソーシャルセキュリティなどの公的年金をはじめ、アメリカ国内の民間のリタイヤメント口座(401kや個別のペンションなど)からの引き出し額などは、日本で課税対象となります。

ここで一応付け加えておきますが、市民権を放棄するタイミングやその間(放棄を決めて申請⇒放棄が認められるまでの間)の IRS への税申告については、別の記事で書きましたのでこちらをご覧ください。

アメリカの市民権放棄 + 納税義務からの解放

さらにまた、アメリカ金融機関には W8-BEN フォームを提出することでアメリカ国内でも源泉徴収を免れることができます。

さて、いよいよ確定申告

アメリカから受け取るソーシャル・セキュリティ(退職年金)の引き出しは雑所得、そのほかの年金401Kや個人の積み立て年金(私的年金)は一時所得になります。

    • 雑所得 : 給与所得、不動産所得、利子所得のどれにも該当しない所得。一定額の控除あり。
    • 一時所得:一時的に得た収入。臨時所得。収入として課税される。

401(k) や IRA などからの受取額は、年金として定期的に受け取るか、それとも一時金として受け取るかによって課税のされ方が違ってきます。 年金で受け取る場合には雑所得に該当しますが、自分で積み立てた元本は差し引いた額が課税対象となります。 Employer Match として雇用主が積み立てた分は元本に含めることはできません。(課税対象となる)

アメリカのリタイヤメントプランを受ける(引き出す)時の注意点ですが、401(k) と Traditional IRA (Pre-TAX) であれば、日本で受け取ってもアメリカ国内に居住している場合とくらべて目減りするということはありません。

ただ・・・

Rothですと、、、悲惨

Roth IRA や Roth 401(k)の場合、日本に永住帰国してから受け取る(引き出す)と大きな痛手となります。

なぜか? もうお分かりですよね?

そもそも、Roth の利点(目的)は最初に所得税をアメリカ国内で払っておいて、その後は利回り非課税で運用し、退職して老後に引き出す時には非課税というものでしたね?

アメリカで既に所得税を支払っているのに、その後に日本に永住帰国して引き出してしまいますと、上でのべた雑所得あるい一時所得としてどちらにしても課税対象となります。

若いころにRoth として既にアメリカ国内で所得税を支払っていたとしても、その事実を証明するのは生半可なことではできません。 そもそも、Roth はアメリカでの法律で比較的最近できたものですから、これを日本の国税庁に納得して頂くのは不可能です。 まず日本の税理士でも説明不可能でしょう。 実際、私が目の前で見てきた税理士先生方はみな説明ができませんでした。

結果的にRoth ですと日本でさらに税金を払う、つまりダブル課税となります。

17年前、私が独立する前まではアメリカの会社の被雇用者として勤めていたのですが、この会社を辞めたときに、401KとIRAを解約して全額引き出し、そのキャッシュをどうしたか? これまで何度か書いてきましたが、そうです。

国民年金保険料の未納分を全額納めました!

この年、私は日本の司法試験に合格して修習に入っており、社会保障制度をとくと勉強していた時でした。

お陰で、年金の月々の受け取り額はちょうど2倍になります。 あの時の判断が正しかったと改めて思います。

※ これから日本の年金を受け始めようという方で、日本・アメリカの両方の年金を1ペニーも減額されることなく、しかも非課税で受けたい方は、私まぁこまで(連絡先は右サイド)ご相談下さいませ。 これからあなたが受けとる日本の年金が「WEP減額対象の非該当」となる申請を、SSA(米国社会保障省)に対して行います。