今年(令和4年)の6月、新年金制度が施行されました。 改正された項目は多岐にわたりますが、今日は、アメリカ在住者が関心を示すであろう、また影響を及ぼすかもしれない2つの柱のみにしぼって解説します。
1つ目は将来永住帰国を考えている方のうち、日本で新たな仕事に就いてみたい方に朗報です。
被用者保険の適用拡大
ご存知のとおり、日本の公的年金は【厚生年金】と【国民年金】の2つです。 この2つの年金にそれぞれ加入している人が将来(65歳から)受けられる年金月額を平均しますと、
厚生年金 15万5421円
国民年金 6万5075円
となり、厚生年金は国民年金の2.7倍となり、ずいぶん差があります。
厚生年金に加入している人は同時に国民年金にも加入していることになるので2.7倍は当然と言えますが、肝心なのは、
日本では企業にお勤めしていながら、この厚生年金に加入できない人が大勢いるのはご存知でしょうか?
現在日本の企業で正規雇用として働いている人の数がおおよそ、3,539万人、非正規雇用が2,090万人です。 この非正規雇用、つまりパート・アルバイト・派遣の方2,090万人のうち、厚生年金に加入できない人が1,050万人もいるのです。
従来の厚生年金保険への加入条件:
- 週労働時間20時間以上
- 月額賃金8.8万円以上
- 勤務期間が1年以上見込まれる
- 学生ではない
- 従業員500人超えの企業に勤めている
の5つでした。
これが、今年6月以降は、
新年金制度の厚生年金保険(被用者保険)の加入条件では:
- 従来の条件のうち、「3.勤務期間が1年以上見込まれる」が撤廃されました。
- また、「5.従業員500人超えの企業」は今年10月からは、「従業員100人超えの企業」へ、2024年10月からは「従業員50人超えの企業」に改正されます。
ただでさえ雇用が安定しない上に、将来も公的年金が受けられるかどうかと不安をかかえてきた非正規雇用者には朗報です。 さらに、これから日本へ永住帰国をと考えている人でも、日本国内で働いてみたいという方にも良いニュースですね。
次に、新年金制度・改正の2つ目の柱ですが、
在職中の年金受給の在り方の見直し
60歳以上になっても引き続き雇用される人や、60歳定年後にこれまでとはまったく違う職に就く人が増えてきました。 こういう人の為に
年金の受給がより有利になりました。
60歳、65歳以上になっても厚生年金に加入して保険料を納めることができたのは従来から変わりませんが、これまではその年に納めた保険料が年金の受給額に反映されるのは70歳に到達してからでした。
これが、今年の6月からは、毎年保険料に見合った増額分の年金を受け取ることができ、
年ごとに年金受給額が増える
ことになります。
65歳以上で在職している人は、70歳の退職時まで待たなくても毎年年金額が増えるのです。 日本で年金を受給しながら働いてみよう(!)とお考えの方には、こちらの方がより朗報ですね。
※これから日本の年金を受け始めようという方で、日本・アメリカの両方の年金を1ペニーも減額されることなく、しかも非課税で受けたい方は、私まぁこまで(連絡先は右サイド)ご相談下さいませ。 これからあなたが受けとる日本の年金が「WEP減額対象の非該当」となる申請を、SSA(米国社会保障省)に対して行います。