● 受け取る条件は?
アメリカ在住の人が日本の年金を受けるにあたっては、まずアメリカのソーシャル・セキュリティを何歳で、金額はいくらで受け取り始めるかが大きく影響します。
なぜなら、日本の年金の額と受けるタイミングによって、アメリカのソーシャル・セキュリティが減額される可能性が大いにあるからです。
ソーシャル・セキュリティと言っても、実は4種ありますが、皆さんが(というより、私がですかね・・・)通常ソーシャル・セキュリティと言う場合、労働者本人が退職して収入がなくなった場合に労働者本人及びその家族の経済的負担を軽減するために米国政府が支給するお金を指しますね。
巷ではよく、「10年間働いていればいいんでしょ?」と耳にすることがありますが、実は条件はそれだけではありません。
直近の13四半期(3年3ヶ月)の内、少なくとも6四半期(1.5年間)は働いて、ソーシャル・セキュリティ税を納めていることも1つの条件です。
もちろん、フルに適応されるためには過去に40クレジット(四半期)=10年間働いていることが必要ですが、これは連続した10年でなくても、過去の35年の間にクレジットが合計して最低10年間分あれば宜しいということになります。
日本と同じように被保険者は保険料(ソーシャル・セキュリティ税)が給料から差し引かれ、雇用主(会社)側も半分負担しています。会社員の場合、本人負担と雇用主でそれぞれ6.2%を負担しています。
セルフ・エンプロイド(自営業者)は12.4%です。
● 受け取る年齢は?
過去35年間に収めたソーシャル・セキュリティ税の金額により計算されますが、多く納めた人(高賃金労働者)と少なく納めた人(低賃金労働者)との差を少なくするような配慮がなされています。
年収の上限もかなり低く設定されており、2017年の上限は127,200ドルです。これ以上年収があっても、ソーシャル・セキュリティ税はかけられないし、つまり退職した時に受ける年金額もこれに相当する金額までとなります。
興味深いのは、この127,200ドルってシリコンバレーのアップルがあるクーパチーノ市の平均(!)収入とほぼ同じ。この市の低所得者ボーダーラインは200,000ドル以下(年収2,220万円は低所得者だって!?)ですから、この市内の住民にとっては貧困層に値します。
その上で、35年前から現在までの貨幣価値がなるべく等しくなるよう毎年のインフレ(お金の価値が下がる)も考慮されて計算されています。下に米国社会保障省の原文を入れておきます。
Many people wonder how we figure their Social Security retirement benefit. We base Social Security benefits on your lifetime earnings. We adjust or “index” your actual earnings to account for changes in average wages since the year the earnings were received.
Then Social Security calculates your average indexed monthly earnings during the 35 years in which you earned the most. We apply a formula to these earnings and arrive at your basic benefit, or “primary insurance amount.” This is how much you would receive at your full retirement age — 65 or older, depending on your date of birth.
出典:www.ssa.org “Estimate Social Security”
では何歳から受け取るか? その年齢によって減額・増額はどうなるのかは下の表のとおりです。
【FRA フル・リタイアメント・エイジ(年金を満額で受け取る年齢)- 生年月別】
生まれた年 FRA
~1938年まで 65歳
1938年 65歳2ヶ月
1939年 65歳4ヶ月
1940年 65歳6ヶ月
1941年 65歳8ヶ月
1942年 65歳10ヶ月
1943~54年 66歳
1955年 66歳2ヶ月
1956年 66歳4ヶ月
1957年 66歳6ヶ月
1958年 66歳8ヶ月
1959年 66歳10ヶ月
1960以降 67歳
年金を繰り上げて、若いうちから低く貰いたい場合には62歳から始められますが、今年で62歳になる1955年生まれの人は、満額を受ける年齢は実は66歳と2ヶ月です。
次回は、年齢で段階的にいくら受けるかという話をしましょう。