14年間も年金の記録調査と復旧を生業としていて、こんなことを言うものなんなのですが、
私は日本に年金制度は要らないと思っています。
日本だけでなく、世界の先進国のすべての年金制度は無い方がよろしい、とつねづね思っています。
これは国の経済を好景気にするためにも、人権的見地から言っても「必要がない」と思っています。 資本主義の本質からも外れているんじゃないか?
日本ではまず、20歳から60歳まで保険料を払い続けたら65歳から受けられる国民年金がありますね。それから被用者(誰かにやとわれて働く人)は小役のように子供の時から働く者を含め、サラリーマンや公務員の場合はお勤めの間ずっと65歳まで、お給料から源泉徴収という形で厚生年金保険料が天引きされますね。
ですが私は、政府が「これは国民にとって良い事だから」と勝手に決めた制度のために個人の所得から勝手に保険料を徴収してそれを運用すること自体、間違っていると思います。間違っているというより、自分のお金を自由に使えるという国民の権利を侵害していると思うのです。
もちろん自分で必死に働いて貯めたお金でも、生涯のうちにはインフレがあって貯蓄がお金の価値の下落に追いつかない。やっぱり貯金だけでは老後に備えられないという心配は出てきます。そのための年金制度だという意見もでるでしょう。
ただ、そもそもが労働収入とその貯金+利息分だけで老後に備えようという考え方がおかしいと思います。労働して得たお金は貯蓄だけでなく投資して増やさなければならないことを「お金の教育」として教えなければならない、むしろそのお金の教育がなかったから、現在の日本も世界も景気が良くないのではないですか。
それとお金は労働しなければ得られないという考え方も間違っていることを、義務教育から教える必要があると思っています。小中学校、高校でも、お金の稼ぎ方や増やし方は教えてくれませんねえ。
じゃあ、これから日本の年金制度を撤廃できるのか?というと、不可能にに近いくらい難しいでしょうね。一度始めてしまったものは・・・
たとえば現在65歳以上で既に年金を受給している高齢者には続行で支給するとしましょう。しかしこの高齢者に支給されている年金の一部は、現在保険料を支払っている若い層からの収入から来ています。そして一部は税収、残りはGPIFが運用して得た収益から出ています。
あ、GPIFって覚えてない人は下の記事をご覧ください。
現在保険料を払っている若い層の意見では「我々が65歳、70歳になったときは年金は払ってもらえないよ」と言ってますから、年金制度を無くすと言ったら「ワーイ!」と喜ぶ若者がいるんでしょうね。
そうすると、税収とGPIFの運用収益からまかなうことに。これね、意外とすごいんですよ。何がすごいって、GPIFは発足以来の累積運用益は来年2018年あたり60兆円に達するのです。
だから、若者層の保険料納付がストップしても大丈夫なのです。
ここまで書くと、逆に年金制度を無くせ!と陰では思っていた若い人たちが「え? 我々が高齢者になったときも年金は支払われるの?」と今度は年金制度を撤廃する意見に反対するでしょうね。
ということで、年金制度を無くそうというアイデアは非現実的なのです。
厚生年金保険法は昭和29年に施行されました。今から63年前、政府はどれだけ罪深いことをしたのか?改めて考えさせられます。