前に「生まれた時から米国籍の方も日本の年金が受けられるんですよ」と書いたら、「じゃあ、もと日本国籍でアメリカに来てから米国籍をとった私のような者はどうなるの?」との基本的な質問をされてガッカリしてしまいました。
またそこへ立ち返るのか、、、でも、まだ本当に知らない人たちが現にいらっしゃる。
少し前に日米社会保障協定(2005年10月1日発効)について書きました。
日本の国籍を有するままアメリカに在留している場合、その期間は年金を受ける期間に合算(この合算という言葉、記憶しておいて下さい)してもらえるのですが、早くにアメリカ市民権(米国籍)をとってしまうと日本の国籍を喪失してしまうのですから、それ以降の在住期間は年金の資格の期間とならなかったのです。過去には。
ですから日本で保険料を掛けたことがあった人でも、米国籍を取得するのが早すぎて年金をあきらめなければならないことが過去にはありました。
それでは日本でもアメリカでも働いていたのに、日本で働いていたことが無駄になってしまうじゃないか(!)という苦情があって、日米間で長いこと交渉した結果、この協定が締結・発効されました(2005年にやっと)。
注意して頂きたいのは、資格の期間には加算されますが、だからと言って受ける年金の額が増える仕組みにはなっていません。日本で払った分に見合う額の年金が支給されるにすぎません。でもそれで充分です。なぜなら日本の年金はアメリカのソーシャルセキュリティとは比較にならないほど気前が良いからです。
左に典型的な例をあげておきました。この方は日米社会保障協定の前なら年金を受けることはできなかったはずの人ですが、現在は難なく受け取っています。
では日本で働いた期間と日本国籍の期間とアメリカで働いた期間、トータルでいったい何年あれば良いの? ほとんどの方は合計で10年です。今年の8月1日までは、この資格期間と呼ばれるものが25年だったのですけどね。
それと、この方が受給できる過去の分の年金は、遡って2005年10月1日までとなります。敢えてこれに触れますのは、(電話でのお問い合わせを断っているため)次のようなメールを頂いたからです。
アヴィコさんの記事を読んで初めて自分が年金を受けられると知りました。昨年日本へ行ってどうにか手続きできました。そうしたら5年分の過去の年金が戻ってきました。
それで喜んでいたのですが、私の友人がアヴィコさんに手続きしてもらって11年分戻ってきた!と言っています。
私は70歳、友人は71歳。日本で働いた期間も渡米した時期もあまり変わりません。なんだか損した気分です。いったいどの辺の都合で彼には11年分も年金が支払われたのでしょうか?
次回はこの、過去に受けるはずだった年金の額に差がでる!という話をしましょう。