このところ、アメリカ市民権を取得されている方の電話が相次ぎましたので、今さらですが日米社会保障協定についてふれておきます。
思うと、既に12年も前に発効されてるんですね。数年前の少し古いお問合せの例を載せておきます。つまり年金を受ける資格期間の短縮措置(25年から10年へ短縮)が発効される前の日本人の例です。
お問い合わせ:「もうずっと前になりますが、私は帰ることがあったのでそのついでに社会保険事務所*に行ったことがあります。そうしたら『あなたの場合はアメリカ市民権を取ったのが早かったので、年金を受ける資格がありません』と言われました。でも最近になってまぁこさんの記事を読みました。どうも私も年金がもらえそうな感じ・・・ いったいどっちが正しいのでしょうか?」
ハイ、その日本に行った時期というのが2005年10月1日より前ならば、その対応した職員の言ったことは間違いではありません。しかしこの日以降であれば間違っています。
あらま、なんて複雑なの(?)とココで負けないで下さい。
アメリカのソーシャルセュリティに加入している期間を日本の年金の受給資格期間に足すことができるようになったのは日米社会保障協定が施行された2005年10月1日からです。12年前のことです。
ちょっとこの問い合わせがあった方のケースをグラフにしてみましょう。
40歳の時に米国市民権を取得しています。
日本国籍を有するままアメリカに在住していた期間(通称カラ期間)は14年となります。
日本での勤務期間は8年でしたから、この8年とカラ期間14年を足しても22年で、年金が受給できる資格の25年**には満たりません。
ですがこの協定後はアメリカのソーシャルセキュリティの加入期間を資格期間に足して(通算)もらえるようになりましたので、この方は間違いなく日本の年金を受けることができます。
「なあ~んだ、じゃあアメリカの市民権はいつ取得しても良いんだ」と思われた方が今ほれ(!)いらっしゃいますね? ちょっとまった。
日本の国籍を有するままアメリカに在住していた期間(カラ期間)を合算できる方と、既にアメリカ市民権を取ってソーシャル・セキュリティ加入期間を通算して初めて年金を受けられる方とでは、受けられる年金の額が大きく違ってきます。
いったいどういう計算になるのか複雑すぎるので説明は避けますが、この先アメリカ市民権を取得しようかどうかとお考えの方は、せめて60歳を過ぎてからが良いでしょう。
*社会保険事務所は2010年1月1日より、年金事務所になりました。
**平成29年8月1日に年金を受ける資格期間の短縮措置が発効され、現在は10年になっています。