少し前の話になります。 私の事務所にみえた方で全盲のクライアントがいました。
この方は当時私が担当していた週1回のラジオ放送を聴いて、77歳にして初めて、ご自身が日本の老齢厚生・基礎年金を受けられることを知った方でしたが、お話を伺ってみて、さらに悲しく辛い事実を知りました。
この方は30代で渡米された時に、すでに目の障害は発症していたのです。 当時の社会保険庁の障害認定級の判断基準は全盲ですと障害第1級に認定されます。(現在の日本年金機構でも1級認定)
つまり、このクライアントは事務所にお越しになるより40数年も前から、日本の障害年金を受け取ることができたはずの方でした。
このような例を将来うみださないために、どんな背景の方だと日本の障害年金が受けられるのか? ここらで説明していきましょう。 まずは障害厚生年金から。
障害厚生年金の支給要件・認定の手続き・請求の仕方は以下のとおり
支給要件 |
1)厚生年金に加入している間※1に、障害の原因となった病気やケガについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(「初診日」と呼ぶ)があること。 |
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障害認定時 | 初診日から1年6ヶ月を経過した日(その間に治った場合は治った日)または20歳に達した日に障害の状態にあるか、または65歳に達する日の前日までの間に障害の状態となった場合。 ※ 例えば、初めて医師の診療を受けた日から1年6ヶ月以内に、次の1.~8.に該当する日があるときは、その日が「障害認定日」となります。人工透析療法を行っている場合は、透析を初めて受けた日から起算して3ヶ月を経過した日人工骨頭又は人工関節をそう入置換した場合は、そう入置換した日心臓ペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD)又は人工弁を装着した場合は、装着した日人工肛門の造設、尿路変更術を施術した場合は、造設又は手術を施した日から起算して6ヶ月を経過した日新膀胱を造設した場合は、造設した日切断又は離断による肢体の障害は、原則として切断又は離断した日(障害手当金又は旧法の場合は、創面が治癒した日)喉頭全摘出の場合は、全摘出した日在宅酸素療法を行っている場合は、在宅酸素療法を開始した日 ※ アメリカ在住者で英語の診断証を受ける場合にはもちろん、和訳が必要です。 |
請求 | 障害認定日による請求 障害認定日に国民年金法施行令・厚生年金法施行令(別表第一)に定める障害等級1級、2級または3級の状態にあるときに障害認定日の翌月(※)から年金が受けられます(ただし、一定の資格期間が必要です)。このことを「障害認定日による請求」といいます。 請求書に添付する診断書は、障害認定日時点の症状がわかるものが必要です。なお、請求する日が、障害認定日より1年以上過ぎているときは、請求手続き以前3ヶ月以内の症状がわかる診断書も併せて必要となります。 請求書は障害認定日以降に提出することができます。 ※ こちらもアメリカ在住者で英語の診断証を受ける場合には和訳が必要です。 |
事後重症による請求 | 障害認定日に国民年金法施行令・厚生年金法施行令(別表第一)に定める障害等級1級、2級または3級の状態に該当しなかった場合でも、その後症状が悪化し、1級、2級または3級の障害の状態になったときには請求により障害厚生年金が受けられます(ただし、一定の資格期間が必要です)。このことを「事後重症による請求」といいます。 請求書に添付する診断書は、請求手続き以前3ヶ月以内の症状がわかるものが必要です。 事後請求による請求の場合、請求日の翌月から年金が受けられます。そのため、請求が遅くなると、年金の受け取りが遅くなります。 請求書は、65歳の誕生日の前々日までに提出する必要があります。 ※ こちらも同様、アメリカ在住者で英語の診断証を受ける場合には和訳が必要です。 |
年金額(平成30年4月~)
【1級】
(報酬比例の年金額) × 1.25 + 〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕※
【2級】
(報酬比例の年金額) + 〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕※
【3級】
(報酬比例の年金額) 最低保障額 584,500円
※その方に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいるときに加算されます。
【ご注意】
配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上または共済組合等の加入期間を除いた期間が40歳(女性の場合は35歳)以降15年以上の場合に限る)、退職共済年金(組合員期間20年以上)または障害年金を受けられる間は、配偶者加給年金額は支給停止されます。