沖縄県はアメリカ合衆国の植民地になっておりましたが、昭和47年5月15日に本土へ復帰しました。
そのため本土に住む方と同じように、沖縄に住む人を従来の国民年金法や厚生年金保険法をそのまま適用してしまいますと、当然年金額が不公平な結果になってしまいます。
そこで、次のような特例が設けられております。
(1)国民年金
昭和36年4月1日から始まった国民年金ですが、沖縄県では本土に復帰する前の、昭和45年4月1日から実施されました。
このように、つまり日本の国民年金に加入したくてもできなかった期間を年金を受ける資格期間にしましょう(!)と、次のような特例を設けて本土の日本人と不平等が生じないようにしております。
■復帰時の特例措置期間(昭和36年4月~昭和45年3月)
昭和36年4月1日から、国民年金が実施された日の前日である昭和45年3月31日まで、引き続き沖縄県に住んでいて、昭和45年4月1日に沖縄県の国民年金の被保険者であった方は、次のような生年月日に応じた、「みなし免除期間」が設けられております。
注:ただし被用者年金(厚生年金保険、共済年金など)に加入していた期間は、「みなし免除期間」から除きます。
【生年月日→みなし免除期間】
・昭和6年4月1日以前→9年
・昭和6年4月2日~昭和7年4月1日→8年
・昭和7年4月2日~昭和8年4月1日→7年
・昭和8年4月2日~昭和9年4月1日→6年
・昭和9年4月2日~昭和10年4月1日→5年
・昭和10年4月2日~昭和11年4月1日→4年
・昭和11年4月2日~昭和12年4月1日→3年
・昭和12年4月2日~昭和13年4月1日→2年
・昭和13年4月2日~昭和14年4月1日→1年
この「みなし免除期間」とは、国民年金の保険料の法定免除期間と同じように、受給資格期間に算入でき、老齢基礎年金の金額を算出する際には、保険料を納付した場合の3分の1で計算されます。
また昭和52年3月31日まで、「みなし免除期間」の保険料(1ヶ月当たり183円)を追納できましたが、追納すればその期間は、保険料納付済期間になります。
復帰時の特例措置期間(20歳以上60歳未満)
大正15年4月2日から、昭和25年4月1日までに生まれた方であって、昭和36年4月1日から、昭和45年3月31日までの間で、沖縄県に住所を有していた20歳以上60歳未満の期間は、(1)と同じように「みなし免除期間」とされます。
注:ただし被用者年金(厚生年金保険、共済年金など)に加入していた期間は、「みなし免除期間」から除きます。
つまり受給資格期間に算入でき、老齢基礎年金の金額を算出する際には、保険料を納付した場合の3分の1で計算されます。
また昭和62年1月1日から、平成4年3月31日(または65歳に達した日の前日まで)まで、「みなし免除期間」の保険料(1ヶ月当たり2,400円)を追納できましたが、追納すればその期間は、保険料納付済期間になります。
(2)厚生年金保険
沖縄県の厚生年金保険も国民年金と同じように、昭和45年4月1日から実施されたので、厚生年金保険の加入期間が短くなり、年金額が低くなってしまいます。
そのため特例的に加入を認め、厚生年金保険の保険料を納付できるようにしたのですが、具体的には次のような要件を、すべて満たしている方が対象になります。
・昭和20年4月1日以前生まれであること
・昭和45年1月1日から昭和47年5月14日の間、沖縄県の厚生年金保険の被保険者期間を有すること
・昭和29年5月1日から昭和44年12月31日までの間に、旧厚生年金保険法による適用事業所に相当する事業所に、使用されていた期間を有すること
この特例納付は次のように、3回に渡って実施されましたが、現在は終了しております。
■平成2年~平成7年
本土に復帰する際に沖縄県独自の、厚生年金保険に加入されていた方を対象に、特別納付を認めました。
■平成7年~平成12年
昭和45年1月1日~昭和47年5月14日の間に沖縄県独自の、厚生年金保険に加入していた方を対象に、特別納付を認めました。
■平成18年~平成23年
平成7年施行の特別措置の対象期間に本土へ出向していたため、対象とならなかった方を対象に、特別納付を認めました。
その他としては平成2年~平成7年までの間に、特例保険料を納付した方は、加入期間が180月に到達するまでの月数につき、昭和45年1月の標準報酬月額 ×4.143に一定率と、特例納付月数を掛けた金額が加算されます。
ただ昭和45年1月1日以後の、厚生年金保険の加入期間を有する方に限りますが、これら以外にも沖縄県の特例が、いくつか存在します。