節税って、一般的に良いことばかりだと思ってました。 数年前まではタックスリターン(税申告)用のソフトを使っていろんなところを突っ込んで調べながら、「もう少し税金を抑えられなかな?」とアレコレ頑張ったものでした。
50歳を過ぎて、あと10年もすればソーシャル・セキュリティを受けるであろう年齢になって初めて、節税することが我々、とくにアラ還世代にとっては薦められることではないと気が付きました。
「税金なんて、とられるばっかりで何も良いこと無い! できれば税金0にしたい」などと考えていた若い頃の私。なんて浅はかだったんだ・・・
これからソーシャル・セキュリティを受け始めるまでの10年と少し。 ソーシャル・セキュリティの受給額をできる限り増やそうと決意したなら、節税は禁物です。 できるだけ沢山の税金(ここではSSA:ソーシャル・セキュリティ税)を払うように心がけましょう。
「そのできるだけ沢山って、どれだけ払えばいいの? いつまで払えばいいの?」と疑問に思われた方。 まずは、私たちのソーシャル・セキュリティの将来の受給額はどうやって決まるのか? それを見て行きましょう。
ソーシャルセキュリティの額はこうして決まる
だいたいこのブログを読まれている方の Full Retirement Age(ソーシャル・セキュリティを満額で受ける年齢)は、満66歳から67歳だと思います。
私はその年代には入らないかも? という方は☟コチラ☟
アメリカの年金、何歳で受けますか?
その満額のソーシャル・セキュリティのことを Primary Insurance Amount (PIA:ピーアイエー)と呼びます。
ピーアイエーは実は、「個人の職歴の中で年収(課税対象額)の高い順から数えてトップ35年をカウントし、その平均 Average Indexed Monthly Earnings(AIME)を計算することから始まります。 Monthly ということですから月額です。
AIME = 過去の納税履歴のうち高い順から35年分の年収 ÷ 35年 ÷ 12か月
※この計算式においては、過去35年のあるいはそれ以上の期間の物価指数の上下やお金の価値の変動についてはまったく勘案されていません。
ここで、少し前までは郵便で届いていたあの、Your Social Security Statement というSSAの通知書を思い出して下さい。
こんな感じの書類です:
これって、10年くらい前までは SSA(米国社会保障省)が郵送してくれていました。 現在は、自分で SSA オフィシャルサイト(www.SSA.gov) へ行って登録しないと、上のソーシャル・セキュリティの見込み額を見ることができなくなりました。
いまどうなっているのか確かめたい人はまず、このSSAのサイトに登録して下さいね。
さて、ソーシャル・セキュリティの見込み額は毎年上がっていくのか?というと、そうではないですね? 下がることがあります。 その・・・見込み額が下がったということは、前年度の税申告でSSA税を多く支払っていないということになります。
つまりは、毎年SSA税をできるだけ多く支払わない限り、将来受けるはずのソーシャル・セキュリティの額は横ばいまたは下がっていくことになります。
これは、アラ還(満55歳~64歳)の方には重大な問題です。 とくにアメリカ国内で税金を支払っている期間がまだ35年に達していない方にとっては。 上のAIMEは年収の高い順にトップ35年をひろって計算されますから、その35年に満たない方は、これから毎年税申告する課税対象額が高ければ高いほど、AIMEは上昇するということです。
もちろん、AIMEには上限があります。 限度額を知りたい方は:
アメリカの年金、額はいくらから?
大体、月収が1万ドルの方でソーシャル・セキュリティの ピーアイエーは $2,500 程度ですね。 70歳まで待つと28%ほど増えて $3,200 程度です。
この、税金を申告した期間が35年にまだ満たない人って、まさに私がそうです。 30代で渡米、しかも途中日本に一時帰国してから数年間は日本で国家公務員でした。 この期間、アメリカでは税金払っていません。 ブランク(!)なのです。
比較的遅い年齢、30代後半で渡米して現在も仕事をしている方って、この35年に達していないはずです。
このような人はこれから年収の課税対象限度額 $127,200 まで稼いで頂き、SSA税をガッツンとお支払い下さい。
- AIMEが 0 ~ $885まで x 90%
- AIMEが $885 ~ $5,336まで x 32%
- AIMEが $5,336以上 x 15%
これをグラフにすると、こんなかんじ。