遺族年金と聞きますと、アメリカのお住まいの皆様の場合、夫(または妻)が生前に受けていた老齢年金や障害年金をその遺族である妻(または夫)が受け継ぐもの、という認識がありますね。
でも遺族年金は、老齢年金を受けとる年齢に達しないまま、たとえば30代、40代、50代に若くして亡くなった被保険者(受給者ではない)が死亡した場合にも、残された配偶者は遺族年金を受けることができます。
今回これを踏まえて、夫(または妻)が亡くなった年齢に関係なく、また死亡時に若年層の被保険者であったか既に老齢年金や障害年金を受けていたかに関係なく、遺族年金の対象となる要件や受給額について説明します。
【支給要件】死亡した者の公的年金制度の加入要件
遺族年金が支給される場合の死亡した加入者の要件は以下の2者です。
1.現在も日本の公的年金制度(国民年金または厚生年金保険)に加入している現役の世代の方
2.現在は年金制度に加入していないが過去に加入期間(保険料納付免除や、合算対象期間、通算対象期間を含む)が25年以上の方
25年ときいて、「ん?」と止まった方がいたら優秀です。 そうですね。 自身の老齢基礎年金や老齢厚生年金を受ける場合には、資格の期間は10年でよかった(平成29年8月の短縮措置以来)はず。。。
へえ、遺族年金の支給要件はまだ25年のままなんだ
と覚えておいて下さい。
遺族年金を受けるにはまず、亡くなった方に公的年金の加入期間が合計25年あることが要件になります。 ただし、こちらは下の表の「短期要件」に該当する者については、保険料納付期間などの加入期間は要求されませんので、まずじっくり最後までお読みください。
その海外ですが、カラ期間は世界中どの国であっても合算されますが、通算できる国は※日本と社会保障協定を結んでいる国に限られます。
※協定締結時順に、ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルグ、フィリピン、スロバキア
遺族年金の種類、受給対象者と受給額
厚生年金保険の保険料が反映される遺族厚生年金と、自営業、主婦、学生などが直接保険料を支払って加入する国民年金が反映する遺族基礎年金の2つがあります。
種別 | 支給対象 | 受給額 |
遺族厚生年金 |
配偶者(遺族が夫となる場合、60歳に達する日まで支給停止) |
加入者の老齢厚生年金の3/4 の額 |
遺族基礎年金 | 子(18歳未満)のいる配偶者、又は子 |
子1人: 780,900円 2,3人目:各224,700円が加算 |
さて、遺族年金を受ける側にも条件があります。
遺族の受給要件
要件① 残された配偶者(内縁を含む)、子ともに死亡した年金受給者または被保険者によって生計を維持されていた者
要件➁ 配偶者(内縁を含む)、子ともに年収が850万円以下である
この両方の要件を満たす者に限られます。
要注意事項
遺族年金はアメリカのソーシャル・セキュリティの減額対象にはなりません。 棚ぼた防止規定の適用外です。 が! 配偶者や子がご自身の老齢年金を受ける場合は自動的にソーシャル・セキュリティの減額対象になります。
大丈夫! 遺族年金の方が高いから自分の老齢年金よりも遺族年金を引き続き受けるから
と思った、ほれそこの人。 要注意です。
遺族年金の受給額がそのままそっくり自身の老齢年金にスウィッチしないからです。
残された配偶者や子に公的年金の受給資格が1ヶ月でもある場合、日本年金機構はまずその1ヶ月分の老齢基礎・厚生年金を支給し、それまで頂いていた遺族年金の額に満たない部分を遺族年金から補填します。 (合計4分の3まで)
この遺族が受ける年金の種別は遺族年金から老齢基礎・厚生年金に移行したことになりますので、年金の受給額に関わらず、アメリカの社会保障制度の年金(ソーシャル・セキュリティ)は最大60%まで減額されます。
ソーシャル・セキュリティは1ペニーも減らされたくない!という方は、そうなる前にまぁこまでご連絡の上でコンサルティングを受けることを推奨します。 今年も既に「ソーシャル・セキュリティが知らない間に60%減っている!SSAから通知書がきたけど、これどうなってるの?」というお電話を頂いています。
既に減額されてしまった、ソーシャル・セキュリティの額を覆すのは容易ではありません。
※ これから日本の年金を受け始めようという方で、日本・アメリカの両方の年金を1ペニーも減額されることなく、しかも非課税で受けたい方は、私まぁこまで(連絡先は右サイド)ご相談下さいませ。(有料)SSA(米国社会保障省)に対し、あなたが受けとる日本の年金がWEP減額対象から外れていることを確認・申請します。