今日からちょうど1か月前の8月23日に、私は2005年に発効された日米間の社会保障協定について説明しました。
この協定が発行される前まで、早くにアメリカの市民権を取得して日本国籍を喪失した方は合算対象期間(通称カラ期間)がカウントされず、資格の期間を満たさないために日本の年金を受けることができませんでした。この問題が2005年10月1日に解消されました。
さて、この協定で解消された問題がもう1つあります。日米両国の社会保障制度の同時に加入するという二重加入が解消されました。
平たく言うと、日本の年金の保険料とアメリカのソーシャル・セキュリティ税の両方を同時期に払っていた人がいなくなりました、ということです。
協定は12年も前に発効されたのですが、これを知らないで未だに二重加入している方が少なからずいますので、改めて説明しますね。
● 二重加入防止の考え方
以下は駐在員の例を挙げて説明しますが、実は、この二重加入は駐在員ではない多くの在米日本人にとって重大な問題となりますので、ご自分に置き換えてお考え下さい。
協定発効前、長期滞在駐在員は日本の社会保障制度に加入していると同時に、現地アメリカの社会保障制度への加入も義務付けられていました。駐在期間中は日本とアメリカの両方の社会保障の保険料を払い続けていたことになります。
【協定発効前】
しかし日米協定発効後は、社会保障制度の加入パターンがアメリカ滞在期間に応じて2つに分けられます。
【協定発効後】
● 例1)5年以上派遣される人の場合
アメリカ滞在期間が5年以上の場合、対象者は原則としてアメリカの社会保障制度のみに加入し、その間日本での社会保障制度の加入は免除されます。
● 例2)一時的に派遣される人の場合(5年以内と見込まれる場合)
滞在期間が5年を超える場合には、原則としてアメリカの社会保障制度への加入となり、アメリカの社会保障制度を免除にするには、アメリカ社会保障制度への提出内容によって判断されます。
ということは、米国へ派遣された駐在員だけでなく、アメリカに住んでいる多くの日本人がこちらのケースに(自動的に)該当しています。
ちょっと待ってください!! 皆さんの周りにいませんか? アメリカに住んでいる人で、
「私、今でも日本の国民年金の保険料を払ってるわよ」とおしゃる方。
その方がもしアメリカで働いている方なら、上の二重加入と同じ状況(協定発効前・一番上の図)になります。つまり払い損です。
65歳あるいはその前後の時期にアメリカのソーシャル・セキュリティを受ける時になって、二重加入が発覚するので、どちらかをあきらめることになります。
なぜあきらめるの? まだご存知ない方は☟下をご覧ください。
日本の年金で、ソーシャル・セキュリティが減らされる!?
日本の年金をあきらめるか、ソーシャルセキュリティが減額されるかを選択します。日本の年金をあきらめても、過去に支払った国民年金保険料は払い戻しされません。
これとは違って、アメリカに在住している間は学生であった、あるいは専業主婦・無職であった場合には、日本の年金を受けることができます。