ボイスメールに残されている「非通知」メッセージのことで、もう1つ思い出しました。
「もっしも~し! 年金のことでちょっと相談があります。お電話下さい」——— 電話番号・名前を録音してない! そして当然のように非通知・・・ お心あたりの方は再度お電話下さい。
さて今日は、やっと年金の受給が開始できたお客様のお話です。「やっと」と言いますのもこの手続き、請求してから第一回目の年金の受け取りまで、なんと1年もかかってしまいました。通常2~4カ月で終わるところをです。この14年間で最長の記録です。なぜでしょうか?
日本の年金を受け取るにはまずアメリカに継続して住んでいること、その間保険料を支払っていないことが条件だと、ずっと言ってまいりました。
アメリカに住んで50年にもなるのに、住民票の上では50年前からずっと日本に住んでいることになってたわけです。ご実家がそのまま残っておりご親族の誰かが住んでいらっしゃる場合、こういう方がたまにいます。日本出国の際に住民票を抜いてこなかった*のですね。
これがどんなに困ったことになるのかはお察しのとおりです。年金の受給資格期間が足りない、、、つまりカラ期間(合算対象期間)が無いのです。
資格期間には日本での保険料納付期間のみならず、保険料を納めなかった期間も含まれます。アメリカ居住者で一般的には、
資格期間 = 保険料納付期間 + 保険料免除期間 + 日本国籍を有するままアメリカに住んでいる期間(通称カラ期間)+(国籍に関係なく)アメリカの社会保障制度(ソーシャル・セキュリティ)に加入している期間
となり、期間が10年(合計120カ月)以上**でハイ、受給決定(!)となります。
日本国外に居住していた期間は事実にもとづいて検討されますので、これを立証すれば良いわけですが、実際は難しいことです。
総領事館で在留証明を発行してもらうことはできますが、数10年前の電気・ガス・電話料金の請求書などを今でも保管してる方っていますか? ちなみに家の売買記録や婚姻証明、子供の出生証明は認められません。これらは本人がアメリカに住んでいなくてもできることだからです。
なぜなら、総領事館では新しいパスポートを発行するたびに無効になったパスポートを没収していた時期があるからです。
正直言いますと、こういう状況嫌いじゃないです。むしろワクワクします。立証してやろうじゃあ~りませんか!
どうやってこの方の受給資格期間を満たしたのか、それは次回お話できるとして、予習を兼ねてグラフを用意しました。「国籍別受給者数」 もちろん弊社を通して受給している数ですが、米国人や日系2世の方もいらっしゃいます。
*地方自治体の長(区長や市長)が職権消除という形式で住民票を消している場合がほとんどです。
**平成29年8月1日の年金受給資格期間の短縮措置発効により、それまでの25年から10年に短縮されました。