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国民年金 繰上げ請求は3割減

【はじめに】

老齢年金の繰上げ受給と、60~65歳に支給される老齢厚生年金の「特別支給金」はまったく別のものです。

特別支給の老齢厚生年金

本日のトピックは「国民年金の繰上げ請求」です。 くれぐれも混同しませんように。

日本では4割が繰上げ支給を選択しているという事実・・・

日本国内ですと、会社員や公務員でなければ国民年金(老齢基礎年金)に加入して、満20歳から60歳までの40年間保険料を納付しますね。

そこから5年のブランクがあって、満65歳になってようやく老齢基礎年金を請求することになります。 一度支給が始まりますと生涯にわたりその年金の額をうける、これが基本です。

実際には、保険料の納付期間がきっちり40年ある(満期)という人は少なく、平成29年(2017年)の8月からは「10年以上保険料を納付していれば」老齢基礎年金は受給できます。

この満65歳からではなく、60歳から繰り上げて年金を受けることができます。 また、70歳まで繰り下げてもらうこともできます。

平成30年度の厚生労働省の調査によれば、老齢基礎年金を繰り上げて受給している人の割合は全体の34.4%とのことです。 受給者の3人に1人は繰上げ受給していることになります。

メリットとデメリット

繰上げ受給の最大のメリットは、早く年金が手にできることです。

日本では現在でも60歳で定年となる会社が多く、60歳から65歳の間は収入が少なくなる時期です。 年金を繰り上げて受給できるシステムはありがたいものです。

一方、繰上げ受給の最大のデメリットは、受給額が減ることです。

さらに、繰上げ受給には次のような制約があります。

  • 障害基礎年金を請求することができなくなる
  • 寡婦年金が支給されない。既に寡婦年金を受給していても権利がなくなる
  • 65歳になるまで遺族厚生年金/遺族共済年金が併給できない

60~65歳の間で体に変調が出てくる時期になって、万一のことがあっても障害基礎年金がうけられなくなるのは悲惨です。 既に軽微の障害がある人が後になって後遺障害が発生した場合にも、これをカバーする障害基礎年金が出ないのは危険です。

繰上げ支給を選ぶ時には、将来障害年金を受ける可能性がないかどうか、自分の健康状態も含めて検討が必要です。

60歳から繰上げ受給すると、受給額は3割減

繰上げ受給は早い時期から年金がもらえる代わりに、一定の割合で減額されます。 逆に支給を繰り下げると、一定の割合で増額されます。

減額の割合は「0.5%×繰り上げた月数」、増額は「0.7%×繰り下げた月数」で計算されます。

と言われてもなんだかピンとこない方のために、受給額(年間と月額)を60歳~70歳でそれぞれ計算してみました。 表のうち緑色の枠内は65歳支給時の金額ですが、れは国民年金の保険料をきっちり40年間納付した場合の満額のです。

60歳支給開始と70歳支給開始では、年金額が2倍(!) これってアメリカの早期受給と後期受給の差とは比べものにならないですね。

いったん受給がスタートしますと、この確定した金額は生涯変わりません。

したがって、繰上げ受給した人の累積受給額はどこかの時点(年齢)で、繰上げ受給をしなかった人よりも少なくなります。

これを計算しますと、繰上げ受給が始まってから16年と8カ月で、繰上げ受給をしなかった場合よりも年金累計額が少なくなります。

60歳になったら検討する

厚生労働省の調査によれば、「繰上げ受給にした理由」は、男性では「年金を繰り上げないと生活出来なかったため」が、女性は「減額されても、早く受給する方が得だと思ったため」が多くなっています。

この2つに、「生活の足しにしたかったため」を加えた3つが、繰上げ支給の主な理由となっています。

これは、アメリカの早期受給を判断する場合とほぼ同じですね。 クライアントの話を伺いますと、「明日何があるか分からないのだから、62歳で早く・低くもらった方が得」、と考えるのは女性が多いようです。

人それぞれの信条にかかわることなので、自分で判断するしかありません。

ただ、年金制度がある理由の1つは、「長生き」というリスクに備えることです。ある程度の年齢に達し、労働して対価を得ることができなくなり、貯金も尽きた時にあてになるのが年金制度なのです。

日本人の平均寿命は女性が87.14歳、男性が80.98歳。 どちらも80歳を越えています。65歳まで働くことができたとしても、まだ長~い余生が残っています。

60歳から65歳までの期間、「まだバリバリ現役で働ける」とか「他になんらかの収入はある」のであれば、あえて繰上げ受給はしないという選択が正しいと私は思います。 実際いまどきの日本人の60歳~70歳ってホントに若いですから。

それでも繰り上げて年金を請求した方は、60歳の誕生日を迎える3カ月前に裁定請求書に必要書類を添えて日本年金機構へ提出することになっています。

ねんきん定期便を受け取っている方は、この「60歳の誕生日を迎える3カ月前」ころに、繰上げ請求の説明が書かれた書類が送られてきます。

※ これから日本の年金を受け始めようという方で、日本・アメリカの両方の年金を1ペニーも減額されることなく、しかも非課税で受けたい方は、私まぁこまで(連絡先は右サイド)ご相談下さいませ。 これからあなたが受けとる日本の年金が「WEP減額対象の非該当」となる申請を、SSA(米国社会保障省)に対して行います。

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