Covid-19 の自粛体制に入るより少し前、私はある日系の非営利団体が催すイベントに出席したことがありました。 そこで、ある80歳代の女性を紹介されました。 以下A子さんとしましょう。
「〇〇さん、こちらがあの日本の年金のお手続きをしているまぁこさんです」と仲介の方が私をA子さんに紹介して下さいました。
このA子さんはある日系の団体の代表をつとめてらっしゃる方ですが、私の仕事のことで気を遣って頂いたのか(?)自ら渡米する前の、ずっと昔、日本でのご経歴をザッとお話し下さったのでした。
で、最後に、
私の日本での職歴だと、もらえる年金なんてちょこっとでしょうね~
とおっしゃいました。 私は場所をわきまえ(このようなレセプションの席で)、マジに年金の話をつっこんで話し始めるのはご法度と思い、
(いえ、けっこうな額になりますよ、とくに一時金が・・・)
ともなんとも答えなかったのですが。 ただ「はあ、」とニコリ微笑みました。
実は、このA子さんには一時金として約7万ドルが入ることになります。 その場では言いませんでしたが。 現在のA子さんにとって一時金7万ドルは大した金額ではないのかも・・・ と一瞬迷ったことが理由の1つです。
20年間この仕事をしてきて、470名の経歴を伺い年金を受けて頂くまでお手伝いしますと、その方の経歴とくにお勤め先の名称や生年月日を勘案して一時金でいくらくらいになるか (?) 暗算できるようになりました。
たとえば、昭和25年生まれの女性が高校卒(満18歳)である都市銀行に4年ほど勤めていた場合、この方は今年で73歳ですから、5年分の特別支給金と65歳以降の通常の年金(13年)で計2万6千ドル程度になると概算できます。
先のA子さんはお会いした時既に88歳でしたので、彼女から伺った日本での職歴から、一時金は大体7万ドルくらいかな~と暗算してました。
ところでこの先ほどから「一時金」と言っているお金のことですが、これ正式には
時効特例給付金
のことを指しています。
この年金時効特例法(2007年)は、2006年(平成18年)6月時点において、コンピュータに記録(年金番号)があるものの、基礎年金番号に統合・整理されていない記録が約5000万に該当するばあいには、社会保険庁に非がある、ということを認め、従来の時効5年よりも前の部分の年金も(どんなに昔のものであろうが)まとめて支払います、ということを約束したものです。
ひらたく言いますと、年金の記録をきちんと管理していなかったのは旧)社会保険庁の責任であって、年金を請求する側には何の非も無いので、時効は成立しませんよ、ということになります。
これをもとに、A子さん(満88歳)の場合には本来なら満60歳から受け取るはずであった年金の28年分が一度に支給されることになりますので、それが合計約7万ドルになります。
もちろん、「旧)社会保険庁に非が有る」ことを立証しなければなりません。 もしもA子さんが年金手帳や厚生年金被保険者証などを保管されている場合、「年金が受給できることを本人は知っていた」ことになりますから、自己の責任となり時効特例給付金は支給されません。
従来どおり、時効5年が成立してしまいます。
なので、現在65歳以上の方で年金手帳や厚生年金被保険者証が手元にある方、日本の実家にあるという方は
今すぐ捨てましょう!
いや、冗談ではなくマジで。
年金を請求した際に既に70代、80代~の方で「直近の5年分の年金しかもらってない!」という方は右のまぁこまでご連絡下さい。 時効特例給付金とあわせて遅延金も含め全額取り戻しましょう。
