在職老齢年金ってなに?(65歳未満と65歳以上)

年金に関するニュースで何か起こって無いか?と日本の新聞を見てましたら、こんなのありました。

在職老齢年金で支給ミス、3068万円過払い…未払いも1713万円

地方公務員共済組合連合会は17日、働きながら受給する在職老齢年金で、延べ640人に計約3068万円の過払い、延べ442人に計約1713万円の未払いがあったと発表した。

2015年10月に公務員らが対象の共済年金を廃止し、会社員と同じ厚生年金に一元化した際、計算システムの変更を間違えたのが原因。その後、データ入力のミスもあったという。今年1月、支給額などの点検中にミスが見つかった。

同じ計算条件に該当する受給者はほかにも数千人いるといい、同連合会は支給額が正しいか調べている。

読売新聞 12月17日(火)20時13分

こんなの読むと、「過払いがあった人、ラッキー」とか「いや、過払い分は返金しなきゃいけないんだろうな」などと考えてしまいます。

さて、その、

在職老齢年金ってものが何なんだか知らない

という方もいらっしゃると思います。 とくに、アメリカに在住している人にはまったく縁がないものなので今日まで触れていなかった制度です。

が、昨今50代~60代で日本に永住帰国を決めるクライアントが増えまして、「縁がないもの」とは言っていられなくなりましたので、この在職老齢年金の中身を紹介しましょう。

読んで字のごとく、在職しながら受けられる老齢年金という意味です。 60歳以降も日本国内の事業所(あるいは役所)で働きながら、日本では老齢厚生・基礎年金の一部を受けることができます。

※これは、60~65歳までに受けられる特別支給の老齢厚生年金とは別物ですので、ご注意下さい。

その在職老齢年金の受給額ですが、65歳未満と65歳以上では計算の仕方が違います。また、在職中の方の給与(月額)によっても計算式が違ってきます。 まずは、

60歳台前半の在職老齢年金(2019年度)

です。 65歳未満で現役バリバリ働いて厚生年金の被保険者となっている人、つまりお給料から厚生年金保険料を差し引かれているという方で、老齢厚生年金の受給資格がある方の場合、その年金の基本月額と総報酬月額相当額に応じて年金額の一部または全部が支給停止となります。

  1. 在職中であっても総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計が28万円に達するまでは年金の全額を支給します。
  2. 総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計が28万円を上回る場合は、総報酬月額相当額の増加2に対し、年金額1を停止します。
  3. 総報酬月額相当額が47万円を超える場合は、さらに総報酬月額相当額が増加した分だけ年金を支給停止します。

※ 支給停止額の計算の基礎となる「28万円」及び「47万円」については、それぞれ「支給停止調整開始額」及び「支給停止調整変更額」と呼ばれ、賃金や物価の変更に応じて毎年見直されます。

<上に出てくる用語についての説明ですが>

  • 基本月額
    加給年金額を除いた特別支給の老齢厚生(退職共済)年金の月額
  • 総報酬月額相当額
    (その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12

ざっとフローチャートにしますとこんな感じ。

 

計算式1 (基本月額+総報酬月額相当額-28万円)×1/2
計算式2 (47万円+基本月額-28万円)×1/2+(総報酬月額相当額-47万円)
計算式3 総報酬月額相当額×1/2
計算式4 (47万円×1/2)+(総報酬月額相当額-47万円)

 

 

65歳以降は、「47万円超」なら年金額を調整

さて65歳以上の方はどうなのか?

65歳以上で70歳未満の方が厚生年金保険の被保険者であるときに、65歳から支給される老齢厚生年金は、受給されている老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額に応じて年金額が支給停止となる場合があります。

つまり、お給料だけで充分な収入と認められる場合には、在職老齢年金が支給されないこともあるということになります。

現在では70歳を過ぎても現役バリバリで働いている方々が多くいらっしゃいますので、これから在職老齢年金のことについてはますますこの認識が重要となりますね。

<上に出てくる用語について説明しますと>

  • 基本月額
    加給年金額を除いた老齢厚生(退職共済)年金(報酬比例部分)の月額
  • 総報酬月額相当額
    (その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計) ÷12
    ※ 上記の「標準報酬月額」、「標準賞与額」は、70歳以上の方の場合には、それぞれ「標準報酬月額に相当する額」、「標準賞与額に相当する額」となります。

計算方法

65歳以降の在職老齢年金の計算方法のフローチャート

65歳以後の在職老齢年金の計算方法のフローチャート

在職老齢年金による調整後の年金支給月額の計算式

・基本月額と総報酬月額相当額との合計が47万円以下の場合
全額支給

・基本月額と総報酬月額相当額との合計が47万円を超える場合
基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2

留意事項

  • 厚生年金基金に加入していた期間がある場合は、厚生年金基金に加入しなかったと仮定して計算した老齢厚生年金の年金額をもとに基本月額を算出します。
  • 厚生年金基金加入期間がある人の年金は、老齢厚生年金のうち報酬比例部分の一部が代行部分として厚生年金基金から支払われます。このため、在職老齢年金の停止額を計算するにあたっては、代行部分を国が支払うべき年金額とみなして、基本月額を算出します。
  • 年金支給月額がマイナスになる場合は、老齢厚生年金(加給年金額を含む)は全額支給停止となります。
  • 老齢基礎年金および経過的加算額は全額支給となります。
  • 70歳以上の方については、厚生年金保険の被保険者ではありませんので、保険料負担はありません。

※ これから日本の年金を受け始めようという方で、日本・アメリカの両方の年金を1ペニーも減額されることなく、しかも非課税で受けたい方は、私まぁこまで(連絡先は右サイド)ご相談下さいませ。 これからあなたが受けとる日本の年金が「WEP減額対象の非該当」となる申請を、SSA(米国社会保障省)に対して行います。