アメリカ在住が長い方々の中でたまに、
日本にいた頃、学校の先生だった 役所に勤めてました
という方がいらっしゃるんですが、問い合わせがあります。
驚くことに、そのうち多くの人が自分は日本の「厚生年金に加入していた」って思ってるんですね・・・
それは、厚生年金保険ではなくて、
共済の年金です。
公立の学校の教諭・教員・職員だった方は公立学校共済組合。 市区町村の役所や県庁あるいはその他の団体の職員だと地方公務員共済組合に加入していたはずです。
その他日本国内には全部合わせて85の共済組合の団体があります。
85の共済組合団体とその支部が日本各地にちらばっていて個別に職員の記録を保管・維持し、年金が受けられる年齢に達した被保険者の年金支給を行っていたわけですから、本当に複雑だったに違いありません。
だって、学校の先生を辞めて一般の企業に勤めたり、その逆のケースもある訳ですから、同一人物が厚生年金の老齢年金を受けながらその一方で公立学校の共済組合の退職年金を受ける、というまことに分かりずらい難しい事態になっていた訳です。
そこで、やっと平成27年(2015年)10月1日に、各種の共済の年金制度と厚生年金保険制度に統合され、
被用者の年金制度の一元化
が実現しました。
手続きの方は、厚生年金と共済の退職年金の受給資格がある人はまとめて日本年金機構が執り行うことになりました。 もちろん、それまでの各地の共済組合の窓口でも個別に請求ができます。 (一元化した意味が無い?)
渡米前に日本にいた頃、公務員だったって方はまず自分がどの共済組合に属していたのか確かめましょう。
共済って、もともとはどんな構造だったの? というご質問からまず答えましょう。
共済年金は下図の通り、会社員が加入する厚生年金と同じように「2階建て」の年金制度です。
1階部分は全ての国民に共通している国民年金(基礎年金)です。
ということは、年金の受給額の計算方法も基本的には厚生年金と同じです。
- 「平均給料×一定乗率×加入期間」
となり、加入期間が長いほど平均給料が高いほど、年金の額が増える仕組みとなっています。
実際の計算式についても、
- 平成15年3月までは、平均月給×7.5/1000×加入期間
- 平成15年4月以降は、年収÷12×5769/1000×加入期間
と、厚生年金と同じとなります(乗率については生年月日で多少の差があります。上の式ではスライド率は考慮していません)。
その、平成27年10月に統合された共済退職年金の「職域加算」とは?
それなら、共済年金も厚生年金と全く同じ早見表でよいのか?というと、そうではありません。なぜなら、共済年金には独自の「職域加算」という加算制度がある(あった)からです。
この「職域加算」こそ、官民格差是正の要因で2015年10月の一元化により「廃止」された代表です。 ただし、2015年9月までの加入期間分については、今後も支給され続けます。
さてこの「職域加算」の計算式(加入期間20年以上)は次の通りです(乗率については生年月日で多少の差があります。上の式ではスライド率は考慮していません)。
- 平成15年3月までは、平均月給×1.5/1000×加入期間
- 平成15年4月以降は、年収÷12×1.154/1000×加入期間
単純に言うと、本来の年金に「2割増し」の加算がつくと考えて下さい。 ただし、加入期間が20年未満の場合は乗率が半分となってしまいます。
共済年金受給額の早見表
それでは早見表を見てみましょう。上が平成15年3月まで、下が平成15年4月以降の期間用となります。
下の厚生年金の早見表と見比べると、「職域加算」がある共済年金の方がいかに優位性がわかると思います。
厚生年金の受給額の早見表。金額は概算。
おおよそ、共済の退職年金は加入期間「20年」を境に受給額に大きな差がでます。
共済年金と厚生年金、それぞれに加入期間がある場合は、それぞれの制度から加入期間分の年金が支給されますので、それぞれの早見表を確認してみてください。
最後に、
公務員だった時期と会社員だった時期の両方が有る方
この場合は両方の加入期間が合算されて、共済年金の額と厚生・基礎年金の額の合計が支給されることになります。 この辺のところは日本年金機構のお客様相談室で相談してみて下さい。