アメリカ在住が長い方々の中でたまに、
日本にいた頃、学校の先生だった 役所に勤めてました
という方がいらっしゃるんですが、問い合わせがあります。
驚くことに、そのうち多くの人が自分は日本の「厚生年金に加入していた」って思ってるんですね・・・
ちゃう、ちゃう! 厚生年金保険ではなくて、
それは共済年金です。
公立の学校の教諭・教員・職員だった方は公立学校共済組合。 市区町村の役所や県庁あるいはその他の団体の職員だと地方公務員共済組合に加入していたはずです。
面倒なことに、共済年金は2015年10月に廃止され国の厚生年金保険制度に統合されてしまったので、つまり手続き等は日本年金機構が執り行うことになりましたので、先のような方々がよけいに混同しやすくなってしまいました。
渡米前に日本にいた頃、公務員だったって方はまず自分がどの共済組合に属していたのか確かめましょう。
ちなみに日本には40以上の共済組合連合会があります。
共済って、もともとはどんな構造だったの? というご質問からまず答えましょう。
共済年金は下図の通り、会社員が加入する厚生年金と同じように「2階建て」の年金制度です。

1階部分は全ての国民に共通している国民年金(基礎年金)です。
ということは、年金の受給額の計算方法も基本的には厚生年金と同じです。
- 「平均給料×一定乗率×加入期間」
となり、加入期間が長いほど平均給料が高いほど、年金の額が増える仕組みとなっています。
実際の計算式についても、
- 平成15年3月までは、平均月給×7.5/1000×加入期間
- 平成15年4月以降は、年収÷12×5769/1000×加入期間
と、厚生年金と同じとなります(乗率については生年月日で多少の差があります。上の式ではスライド率は考慮していません)。
2015年10月に廃止された共済年金独自の「職域加算」とは?
それなら、共済年金も厚生年金と全く同じ早見表でよいのか?というと、そうではありません。なぜなら、共済年金には独自の「職域加算」という加算制度がある(あった)からです。
この「職域加算」こそ、官民格差是正の要因で2015年10月の一元化により「廃止」された代表です。 ただし、2015年9月までの加入期間分については、今後も支給され続けます。
さてこの「職域加算」の計算式(加入期間20年以上)は次の通りです(乗率については生年月日で多少の差があります。上の式ではスライド率は考慮していません)。
- 平成15年3月までは、平均月給×1.5/1000×加入期間
- 平成15年4月以降は、年収÷12×1.154/1000×加入期間
単純に言うと、本来の年金に「2割増し」の加算がつくと考えて下さい。 ただし、加入期間が20年未満の場合は乗率が半分となってしまいます。
共済年金受給額の早見表
それでは早見表を見てみましょう。上が平成15年3月まで、下が平成15年4月以降の期間用となります。
下の厚生年金の早見表と見比べると、「職域加算」がある共済年金の方がいかに優位性がわかると思います。
厚生年金の受給額の早見表。金額は概算。
共済年金は加入期間「20年」を境に受給額に大きな差がでます。
共済年金と厚生年金、それぞれに加入期間がある場合は、それぞれの制度から加入期間分の年金が支給されますので、それぞれの早見表を確認してみてください。
最後に、
公務員だった時期と会社員だった時期の両方が有る方
この場合は両方の加入期間が合算されて、共済年金の額と厚生・基礎年金の額の合計が支給されることになります。 この辺は日本年金機構のお客様相談室でご相談下さい。

