永住帰国してパート、正しいか?

昨年は、1ドルが一時145円まで円安が記録され、今日も134円台というまあまあの円安状態が続いています。

あの円安のピークに、それまでアメリカに持っていた資産のほとんどをドルから円に換え、日本に永住帰国されたお客様が多くいましたが、ラッキーだったというより、

非常に賢い人たち

です。 実はこの方々、ずっと前から永住帰国を計画されていてタイミングを見計らっていた経緯があり、単にラッキーだったとかたずけるのは妥当ではありません。 賢い!のです。

さてそんな賢い永住帰国組、今後は一切働かず、悠々自適の老後を送るのか? と言いますと、そういう方はめったにいません。

50代後半から60代で帰国された方ばかりなので、日本で新たな仕事を始めたり、奥様はパートに出たりというパターンが多いのですよ。

え? そんなに余裕があるのにパート?

と思われるかもしれませんね。 でも、こういった賢い方々の場合、30代40代の忙しい時期であっても旅行や趣味を存分に楽しんだ方が多く、「退職したら・・・」とか「老後は・・・」と特別何が生活がガラッと変わるわけではないようです。

永住帰国したところで、今まで通りの生活を送られています。 実際「せっかく日本に帰ってきたのだから、何も仕事をしないよりパートでも外に出た方が」と、何らかの形で社会とつながっていたい方が大半です。

そうなると、

パートで厚生年金・健康保険(社会保険)に加入できる人が増えています

妻(あるいは夫)でも夫(妻)の扶養に入るのではなく、パート先の社会保険(厚生年金と健康保険)に入る方が増えています。

え? パートでも厚生年金や健康保険に入れるの?

という方、おくれてます。 パートやアルバイト、非正規雇用の方々でも現在は正社員同様に社会保険に加入できるようになりました。 まずはその、パートの人が社会保険に加入する条件を確認しますと、

  1. 週20時間以上(☜この20時間がミソ!)働いていること。
  2. 月額8万8000円以上の給与を受け取ること。
  3. 1年以上勤続する予定。
  4. 学生でないこと。
  5. 厚生年金被保険者常時501人以上の企業等(国の公共団体含む)か、労使合意があれば加入できる。(地方公共団体含む)

例:月給が8万8000円で社会保険に入ると、パート主婦の手取りは?

月収8万8000円を超えて働き夫の扶養から外れるパートの妻を例にして、社会保険料の負担額はいくらになるのか(?)試算してみましょう。

保険料の計算のもととなる標準報酬は8万8000円、この場合、厚生年金保険料は月額8052円、健康保険料は月額5121円になります。 さらに、雇用保険料が月額264円、しめて月合計1万3437円が社会保険料の総額になります。

この方に振り込まれるお給料の手取りは、7万4563円となります。※令和5年度・東京都場合、パート本人が40歳を超えている、介護保険料含む

「本来は8万8000円もらえるはずなのに、7万5000円程度になってしまうの?」とガッカリする人もいるかもですね。 では、社会保険なんて自分で入らないでいいの?  いえいえ、決してそんなことはありません!

夫が自営、フリーランスならば、妻は自分でパート先の社会保険に入ったほうがお得

例えば、夫が自営(フリーランスを含む)で、年収500万円だとします。

国民年金だと、夫も妻も個別に国民年金保険料を月額1万6610円をそれぞれ負担します。

その上で、国民健康保険料(東京都の場合)も月額約1万円を払いますので、月間の合計支払い額は約2万6610円です。 これは、1人分の支払い額で、妻が無職でも別に同額を支払わなければなりません。

ならば、妻がパート勤務で社会保険加入(月1万3437円)したほうが安いですよね。 加えてパートで1年以上勤務し、退職すれば、失業等給付(給与の約6割、3カ月間)も受けることができるのです。 夫が自営業であるパートの妻は、自分で社会保険を払ったほうがお得でしょう。

夫が会社員なら、パート主婦は夫の社会保険の扶養から抜けるが、失業等給付は受けられるというメリットも

永住帰国した後に夫が正規の会社員になるケースはまれなのですが、夫が会社員である場合に妻がパートで働いても年収130万円以内なら、厚生年金も健康保険も夫の扶養に入ることができます。(いわゆるこれば、130万円の壁)

妻の月給が8万8000円を上回ると、それまで扶養家族だったのがパート勤務として社会保険に入れることになります。 今までゼロ円だった社会保険料は、厚生年金保険料と健康保険料と雇用保険料の月合計1万3437円を支払うこととなります。

ですが、このパート主婦も1年以上勤務して退職すれば、失業等給付(給与の約6割、3カ月間)は受けられるというメリットがあります。

1年間パート勤務して厚生年金に加入すると将来もらえる年金は1年で5800円増える

では、パート労働者が1年間、社会保険(厚生年金・健康保険)に入って、いくら年金が増加するでしょう? 厚生年金は国民年金を1階とした2階建ての年金であるため、保険料は安くても国民年金に加入するより多く年金を受けることができます。

国民年金だけの支払いだと65歳以降に、1年間で約1万9500円の老齢基礎年金をもらえることとなります。

それに加えて、標準報酬月額8万8000円で厚生年金に1年加入すると、老齢厚生年金が年額約5800円、一生涯にわたり、増加します(標準報酬8万8000円×5.481/1000×12カ月で計算)。

男性でも平均寿命約81歳、女性は約87歳ですから、65歳から受給するとして、男性で16年間、約9万2800円、女性なら22年間として、約12万7600円、年金受取総額が増えます。支払う厚生年金保険料は1年間で約9万6000円(8052円×12カ月)なので、どれだけ長生きするかによって損得は異なってくるかがわかります。

ちなみに会社員妻の場合、厚生年金保険料月額8052円の他に、夫の扶養でいれば払わなくてすむ健康保険料の年額約6万1000円(5121円×12カ月)もあるので、支払う社会保険料は、年額約15万7000円であることは計算に入れておきましょう。

ただ、健康保険料は支払っている本人のみ、要件を満たせば傷病手当金を最長1年半受けることができます。万一何かあったとき障害厚生年金は、障害基礎年金(国民年金)より、軽い基準で請求ができるので、民間の医療保険のような役割だと考えていいでしょう。

【まとめ】パート主婦が自分で社会保険に入るメリットは大きい

夫が自営業者であるパート主婦は、老齢厚生年金が増え、社会保険料の負担は大幅に減ります。夫が会社員であるパート主婦は、老齢厚生年金は増えますが、社会保険料の負担も増えます。ただし、増えた社会保険料負担で傷病手当金が受けられたり、障害厚生年金の基準が緩和されるという利点があると考えると、自分で社会保険に入るメリットは大きいといえるのではないでしょうか。

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