日本は2重国籍を認めない国です – その IV +ザ・永住帰国

まぁこさん、質問です。 まだ具体的にいつとは決めていませんが、だいたい70歳過ぎたくらいで日本へ永住帰国しようと思っています。

そこで、気になるのが国籍のことです。 私はアメリカの市民権を取っていて日本の国籍の喪失届を出しています。 でも、日本に帰国してから日本国籍を取り戻せば、私は2重国籍ということになりますよね?

これね~ 2重国籍にはならないんですよね。

この方が言っている「日本の国籍を取り戻す」というのは、モト日本国籍だったものが一度だけ日本に帰化を認められる【簡易帰化】を指していると思われます。

手続の呼び方が【簡易帰化】というからには「簡単にできる(?)」と思われる方もいるでしょうが、帰化が認められる【要件】がすこし緩和されているだけであって、実際の帰化申請のための書類は普通の帰化とそれほど変わりません。

またモト日本人と言っても事実上【外国人】ですから、日本に滞在するためには永住権などの在留資格が必要となりますし、身元引受人等を要します。 帰化を申請する様式に添付する書類も通常の帰化と同じとなります。

申請者が日本人であったときの戸籍謄本なども必要ですし、そこから自身の戸籍を読み取り、履歴を遡っていく能力が必要になることもあります。 簡易帰化だから簡単だと思っていると、その書類の多さに心が折れてしまうことになります。

 

自分の意思で米国市民権を取得したモト日本人が、日本国への帰化を希望する場合、まずアメリカ市民権を放棄する必要があります。

 

 

米国籍離脱の手続きについて

米国籍を離脱するには、本人が満18歳以上で国籍を離脱する意志があり、且つ米国大使館・領事館にて領事と面談を行う必要があります。米国籍離脱の証明書発行および申請料は$2,350です。申請料は、面談を行う日にお支払いいただきます。また、米国ワシントンDCにある国務省の許可が降り、国籍離脱の手続きが完了するまで通常数ヶ月かかりますのでご了承ください。

米国籍離脱の詳細については、米国国務省ウェブサイトをご参照ください。 (“Renunciation of U.S. Nationality”, “Renunciation of U.S. Citizenship by Person Claiming a Right of Residence in the United States”, “Advice about Possible Loss of U.S. Nationality and Dual Nationality”)

出典:在日本アメリカ大使館(2019年3月)

この市民権を放棄したことを証明する公的文書をもって、法務省・法務局国籍課または支局へ行きます。※

もちろん、一度の法務局訪問で手続きが終わるものではなく、まず法務局に予約を取って相談をした上で申請を行うかどうか検討し、申請するとなると面接を受けたりと、かなり労力も時間もかかります。

さて気になるのが、

永住帰国をした後のアメリカのIRSへの税申告のこと

一度日本へ永住帰国を決めましたら、米国市民権を放棄する前はもちろん、放棄後も一定の期間は米国連邦歳入省(IRS)へ税金を申告しなければなりません。 これについては先日の記事:

IRS Form 8938(FATCA)や Form 114 (FinCEN -FBAR)

で米居住者 Resident & TAX Payer としての税申告について述べました。

市民権を離脱しますと、それからは別のフォーム Form 8854 を使って税の申告義務を無くすことができます。

この Form 8854 は、永住権を放棄する者も同様で、2004年6月4日以降に市民権(あるいは永住権)を放棄した者が使用します。

Purpose of Form Expatriation tax provisions apply to U.S. citizens who have relinquished their citizenship and long-term residents who have ended their residency (expatriated).   Form 8854 is used by individuals who have expatriated on or after June 4, 2004.

出典:www.irs.gov “Instruction of Form 8854

上のIRSの解説は10頁に渡ります。 全文を読みたいかたはこちら

こちらもご多分に漏れず、たびたび法改正されます。 とくに大統領が交替する時など変更がありますので、永住帰国の話が具体的になってきたら、日本への永住帰国に詳しい税理士を探して相談なさるのが一番と思います。

※ 在米の大使館・領事館で日本国簡易帰化の手続きをする場合には、この記事の手続きとはかなり違いますので、各大使館・領事館のオフィシャルサイトをご覧ください。