今日はちょっとむずかしい話をします。 が! ついていけない!という方は図解も見ないで、記事中央の大文字太字4行だけ読んで、あとはスッ飛ばしてもかまいません。
マクロ経済スライド
これは、平成16年(2004年)の年金制度改正時に導入されたものです。 私が年金の仕事を始めて2年目なのでよく覚えています。
賃金や物価の改定率を調整して緩やかに年金の給付水準を調整する仕組みです。
表向き上の厚生労働省や日本年金機構の言い分は、「将来の現役世代の負担が過重なものとならないように」ということでしたが、ホントにそうでしたっけ?
ようは、この頃日本の国庫のお金は少なく、既に年金受給者となっている65歳以上の高齢者の方々にそれまでの支給額の水準を維持するのは難しかったので、なんとか支給額総額を抑えるために、経済学者を頼ってひねり出したのがこのマクロ経済スライド制でした。
また2004年当時、日本の経済は既にデフレ続きでした。 実際にそれからの14年間こんにちまで好景気インフレにはなっていません。 ずっと緩やかなデフレ&停滞しています。
世間一般の賃金が下がり物価も下がり、お金の価値が上がっているのだから、これは年金の支給額を下げる良いチャンスだった、と私は考えています。 このマクロ経済スライド制のおかげで支給額は少しずつ落ちているのが現状です。
さて前書きはこれくらいにして、実際にどういう制度なのか? 図解してみました。
現役の被保険者(満60歳以下)の減少と平均余命の伸びに応じて算出したスライド調整率というのを差し引くことによって、年金の給付水準を調整します。
なんだかむずかしくてついていけないな~と感じる方は:
マクロ経済スライドという年金額の調整制度があって、1)賃金や物価が大きく上昇していても年金の額はおだやかに上がる 2)賃金や物価の伸びが小さいときは年金支給額は据え置き 3)賃金や物価が実質下落してきた場合には年金支給額は下がるけれども、急激にガクンと落ちるわけではない。
と思っていて下さい。
賃金や物価の上昇が大きいとき、こうやって調整
マクロ経済スライドによる調整が行われ、年金額の上昇については、調整率の分だけ抑制されます。
賃金や物価の上昇が小さいときは、こうやって調整
賃金・物価の上昇率が小さく、マクロ経済スライドによる調整を適用すると年金額がマイナスになってしまう場合は、年金額の改定は行われません。 では、
賃金や物価が下落した場合はどうなるのか?
賃金・物価が下落した場合、マクロ経済スライドによる調整は行われません。結果として、年金額は賃金・物価の下落分のみ引き下げられます。
一度受け始めた年金の支給額は生涯変わらないというわけではなく、年間百円単位くらいでかわりますよ、という話でした。