アメリカで日本の年金を受けている方が亡くなったときは、

タイトルを見ますと縁起でもない話ですね。 ですが、昨年は20年来のクライアントさんがお二人亡くなりました。

ここらで、アメリカで日本の年金を受けていらっしゃる(年金受給権者)が亡くなったとき、どうやって日本の年金を止めるのか(?)お話しておいた方が良いと思いました。

死亡時の年金支給停止手続きは不可欠

亡くなった方が生前日本からの年金を受けていたことに、遺族のどなたかが気付いてくれていれば良いのですが、その事実を知らないまま相続人が故人の銀行口座を維持していますと、日本からは依然として隔月に年金が送金されてきます。

それがずっと後になって、受給権者の死亡後も年金を長く受給していたことが日本年金機構で発覚した時、突然遺族に徴収金(ペナルティ)の督促状が届く、といった例がありました。 そうなってから連絡を頂いても、追徴金等の支払いは免れません。 一応依頼が来たら顛末書くらいは書けますが、過払い分の年金の返金プラス徴収金(ペナルティ)は支払うことになります。

このような災難を避けるためにも、生前からご自身で準備しておかれたらと思います。

「準備ったって、何を?」と思われるでしょうが、年金受給者ご本人か、望ましくはご家族の誰かが用意しておいた方が良いとされる様式と添付書類は次のようなものになります。

様式および添付書類

年金を受けている方が亡くなると、当然その年金の受給権はなくなります。 「年金受給権者死亡届(報告書)」の提出が必要です。 これはオンラインで日本年金機構の公式サイトからダウンロードできます。

さて、年金を受けている方が亡くなったときにまだ受け取っていない年金の部分や、亡くなった日より後に振込みされた年金のうち、亡くなった月分までの年金については、未支給年金としてその方と生計を同じくしていた遺族が受け取ることができます。 これは遺族年金とはまた別のものとなります。 未支給年金の請求書※3は、下のリストを参照下さい。

さらに、亡くなられた方に生計を同一して維持されていた人(つまり同居していた方)には遺族年金を受け取ることが出来ますので、この辺は下の記事を読まれて下さい。

日本の遺族年金 Q&A

遺族年金のこと – アメリカ在住者にも支給されます、あたり前だけど・・・

事実婚、内縁の妻・夫のことが心配? – 遺族年金

 

日本年金機構では、「個人番号(マイナンバー)を収録されている方は、上の年金受給権者死亡届(報告書)の提出は不要」と説明しています。

でもアメリカ在住でマイナンバーを持っている方は皆無です。 私もマイナンバーは持っていません。 あれって日本に住民票をしばらく置いて、写真撮ったりその通知をまったりと手間も時間(最短30日)もかかります。

従ってアメリカに在住している人は漏れなく、「年金受給権者死亡届(報告書)を提出することになります。

未支給年金を受け取れる遺族

年金を受けていた方が亡くなった当時、その方と生計を同じくしていた
(1)配偶者 (2)子 (3)父母 (4)孫 (5)祖父母 (6)兄弟姉妹 (7)その他(1)~(6)以外の3親等内の親族 の順となります。 未支給年金を受け取れる順位もこのとおりです。

提出方法

提出先は、年金事務所または街角の年金相談センターです。 通常の郵送で大丈夫です。 とくにエクスプレスにしたり書留にしない方が賢明です。

添付書類は次のとおりです。 日本年金機構のオフィシャルサイトに挙げられている書類は日本在住の方を対象にしており、随分と違いますので、この辺の書類はオフィシャルサイトよりも、下のリストに従って揃えて下さい。

必要な届出 添付書類 様式及び記入例
死亡の届出
  • 年金証書または年金手帳
  • 死亡証明 Certificate of Death※4
年金受給権者死亡届(報告書)(複写帳票)※3
未支給年金請求
の届出
  • 年金証書または年金手帳
  • 受給者本人と請求する方の身分関係が確認できる書類(日本の戸籍謄本にその記載がある場合はそれを使用)
  • 亡くなった方と請求する方が生計を同じくしていたことがわかる書類(直近の年のタックス・リターン)
  • 受け取りを希望する金融機関の銀行口座証明 ※1
  • 亡くなった方と請求する方が別世帯の場合は「生計維持・同一についての別紙の様式」 ※2

※1 銀行口座証明は、チェック(小切手)やデポジットスリップ(入金票)を1枚添付することで手続きができるようになりました。 ただしこの小切手や入金票には受取人の氏名が印刷されたものに限ります。

「未支給【年金・保険給付】請求書」(複写帳票)※3

※2 亡くなった方と請求する方が同一世帯でなかった場合は、「生計同一についての別紙の様式」の添付が必要です。詳しくは、ねんきんダイヤルにお問い合わせください。
※3 様式は2部複写になっています。
※4 英文の死亡証明は日本語に翻訳することが義務付けされています。

以上、生前に準備しておきたい方は、上の書類を予め用意しておいて下さい。 とくに、遺族で日本語が読めない人のために、様式や戸籍の証明等は揃えておくことを薦めます。

なお、各地方自治体が発行する戸籍の証明(謄本等)には法的有効期限はありません。 ですが、日本年金機構では「できるだけ発効日から6カ月以内のもの」という指定がありますので、毎年1度は更新しておくという手もあります。

その他、遺族に注意していただきたいこと

  • 提出が遅れると、年金を多く受け取りすぎることとなり、後で日本年金機構へ返金することになります。 受給者が亡くなったときは、すみやかに提出するように英語で書置きしておきましょう。
  • また提出先の宛先(年金事務所やセンターの住所)を記入した封筒等も用意しておきます。
  • 亡くなった方の未支給年金は、その支給金を受け取った方の一時所得になるので、IRSへのタックス・リターンは正確にするよう、これも書きおいた方が好ましいです。

上を読んで、「もう、どんなに大変な作業かだいたい想像できる・・・」という方、いらっしゃいますね。 アメリカにお住まいの年金受給者が亡くなった場合の、支給停止願い手続きを代行します。 また遺族年金を受けられる可能性の有無等も判断できます。
連絡先は、sherlock20080603@gmail.com までメール下さい。48時間以内に返答を差し上げます。