日本は2重国籍を認めない国です – その III

そうは言ってもまぁこさん、アメリカ市民権を取ったから自動的に日本国籍が無くなるわけではあるまいし。

「国籍喪失届も出していないことだし・・・」

アメリカのUSCIS(U.S. Citizenship and Immigration Services) から日本の役所に情報が行って日本の戸籍から消除されて・・・なんてことは実際ありえないでしょ?

それとも、今の日本のパスポートにはICが入っているし入国管理システムも自動化(コンピュータ化)してるから、空港を出入りしていると私の情報が洩れて日本の国籍は消されてしまうとか(?)あるんでしょうか?

実際どの程度取り締まっているのですか?

こういう質問、クライアントさんからもよくあります。

日本の国籍法のもとでは、日本は2重国籍を認めていないけど、実際には見つからない。 多くの人がそう思っていると思います。

現在のところ、国籍事項については個人情報ですし、日本の「戸籍」や「住民票」の管理は各市区町村の役所が執り行っているものですから、アメリカ合衆国の市民権取得者情報がそのまま日本の各地方の役所へ行くということは、普通に生活している限り無いと考えても良いと思います。

この「普通に生活している限り」とは、合衆国内で犯罪に巻き込まれることなく、また合衆国の機密・安全の保護において調査対象となる人物とならない限り、という意味です。

現在のところは、両国間において国籍事項・個人情報は共有されてはいません。

国籍喪失届はあくまでも、日本国民の最後の義務として自ら行うものです。

他の国籍を取得した年月日をもって日本国籍の喪失時とする、国籍を喪失したことを届け出るように定められています。

この手続きを行わずに、なおかつ発覚することはないだろうと思ってそのまま日本のパスポートを更新したり、日本の役所が国籍喪失の事実を掴むまでは日本国籍が残っていると考えている人がいますが、それは正しくありません。

日本国パスポートや戸籍は一応書面上でその方の国籍を確認するものですが、他の国の市民権を取得した後に日本のパスポートを使用したり、あるいは日本人としても健康保険・介護保険等に加入するなどすれば、それは当然に違法行為となります。

かりに戸籍に身分事項が残っていた(除籍「✖印」になっていない)としても、それは日本国籍を喪失するまでの過去の身分ということになります。

現在のところ、日本の政府が個々の国籍状況を正確に把握してはいない為にこのようなことが起こりますが、他国との入出国管理情報をより厳密に共有するようになると、日本のパスポートで出国した人がアメリカのパスポートでアメリカに入国した場合に、その人が本当に日本人なのか、あるいは日本国籍をすでに喪失しているけれど違法に日本国パスポートを行使しているのかが瞬時に分かるようになる日は近いでしょう。

年末年始を日本で過ごす私は、帰国するたびに日本とアメリカの両国の入国管理システムの自動化が目覚ましいことに驚いています。

現に、日本のパスポートでアメリカを出国した人が日本に一時帰国してアメリカに戻る際に、国際空港の入国管理官に待った!をかけられています。

だって・・・アメリカを出国した記録が無いからね

この人の場合、空港内にある簡易の Department of Justice に通されて長々と尋問を受け、一時身柄を拘束されるハメに。 米国内にいる身元引受人が迎えに来るまでひと晩待つことになりました。

では、アメリカを出国するときはアメリカのパスポートで出て、日本に入国する際は日本のパスポートで入れば何も起こらないのでは?

う~ん、まだ私は日本の国際空港内の入国管理局で足止めをくった人を見たことはないですが。

「足止め」とはつまり、「あなたこの(日本の)パスポートによると、どの国も出国した記録がないですね? 空から降ってきました?」と疑われ、法務省入国管理局・出入国管理情報官のほうへ「こちらへどうぞ・・・」と招かれる状況のことです。

現在の出入国管理の自動化(コンピュータ化)を見ておりますと、こうなる日はごくごく近いと私は思ってます。

またアメリカ国内の日本の在外公館でパスポートを更新する際には、アメリカのグリーンカードを照会されますから、市民権を取得された方がパスポートを更新しようとしてもこれは無理がありますね。 USCISでグリーンカードは回収されていますから、開示はできません。

だったら、日本のパスポートが失効するタイミングで一時帰国して、日本国内でパスポートを更新すれば? とお考えの方。 老婆心ながら、

日本の旅券法に違反すると、その罰則はけっこう厳しいですよ

興味がある人はキーワード「旅券法」で検索して読まれてみて下さい。 懲役・罰金、両方あります。

私は実際に見たことはないですが、入管で警告を受けた上で日本のパスポートを没収されたという人はいました。 また、日本に一時帰国の際にパスポートを更新しようと申請したら、旅券課から滞在場所に電話連絡があり、国籍喪失届けを提出するように促された、そういう話はよく聞きます。

国籍法に抵触する行為だと承知の上でパスポートを不正に取得したりしている人はどれくらいいるのか? 調べたことがないですが、本来は処罰対象です。 この場合、本人は「知らなかった!」とどこまでシラをきれるか? という話です。

その根性がない人はハナっから、やめておきましょう。

近い将来、国籍情報が各国間で共有された時に外国籍取得がどのような経緯でなされたかも分かるようになるのでしょう。 摘発の対象になるかどうかという話はそれからだと私は思っています。

※ これから日本の年金を受け始めようという方で、日本・アメリカの両方の年金を1ペニーも減額されることなく、しかも非課税で受けたい方は、私まぁこまで(連絡先は右サイド)ご相談下さいませ。 これからあなたが受けとる日本の年金が「WEP減額対象の非該当」となる申請を、SSA(米国社会保障省)に対して行います。