実際に支給されている平均額は? 国民年金と厚生年金

毎年12月になると、厚生労働省の年金局というところから「厚生年金保険・国民年金事業の概況」という報告書が公開されます。

年末に公開なのに報告対象年は1昨年となっているため、一番新しい報告は平成29年度になってしまいます。

この調査対象には日本国内に在住している者はもちろんのこと、アメリカに在住している期間を通算して国民年金・厚生年金を受けている方も、有資格者も含まれています。

またアメリカのみならず、日本の社会保障協定を結んでいる他の17か国※において在住している(していた)方々も総括しての報告書となります。

※ドイツ イギリス 韓国 ベルギー フランス カナダ オーストラリア オランダ チェコ スペイン アイルランド ブラジル スイス ハンガリー インド ルクセンブルク フィリピン

この報告書に目を通していますと、実にいろいろなことが見えてきます。 全部で38ページありますが、グラフや余白が多く実に分かり易く書かれています。

読んでみられたい方はこちらをどうぞ。

さて、この報告書の中でも一般に皆さまがお知りになりたいのは年金の支給額の平均ではなかろうか?と推測します。

国民年金の平均月額は 5万5千円

平成29年度の報告書(平成30年12月公開)で公開されている国民年金(老齢基礎年金)の平均支給額は、月額 55,615円でした。

この年の国民年金制度の支給額は月額 64,941円 (年額779,300円)となっていますが、これはあくまでも、国民年金保険料を40年間ずっと通してきっちり支払った場合の満額です。

実際に国民年金(老齢基礎年金)を受けている方の平均値は、上の満額よりも1万円ほど少ない金額であることがわかります。

厚生年金の平均月額は 14万7千円

次に厚生年金の方ですが、平均支給額は 147,051円 (月額)でした。 私はつねづね「厚生年金の支給額は国民年金に比べると約3倍です」と述べてますが、ハズレてはいませんね。

厚生年金は受給資格者の加入期間や当時の報酬によって、支給される金額に差がでてきます。 そのため男女差が大きく、男性が「166,668円」、女性が「103,026円」となっています。

これは現在60代(65歳前後)の方々が会社員・公務員であった時代には、まだ男女雇用機会均等法もなく、何より女性が外で働いても数年で退職する時代であったことが影響しています。

昨今、アメリカ在住者の中でもモト駐在員で20年以上も厚生年金保険に加入していた方々がふえてきましたし、さらには厚生年金基金に加入していた方も増えました。 今回の報告書に書かれた年金の月額は、日本に住んでいる方だけでなくアメリカ在住者にとっても、自分の年金を考える際にある程度の目安となりますね。

今後ずっとアメリカに住んで日本とアメリカ両方の年金を受けながら永住するのか、あるいは日本に永住帰国するのか? いろんな選択肢がある中でご自分の年金受給額を検討してみる時期かもしれません。

目安として覚えておきたい金額

トピックから派生しますが、この報告書から計算した平均月額から、家族構成別のひと月当たりの支給額を想定してみました。

再度言うと、厚生年金の支給額については個人差が大きいので、下の数字は本当にざっくりした目安です。

    国民年金 単身者 55,615円
    国民年金 夫婦2人分 111,230円
    厚生年金 男性 166,668円
    厚生年金 女性 103,026円
    厚生年金(夫)+国民年金(妻) 222,283円
    厚生年金 夫婦共稼ぎ 269,694円

夫婦二人のモデルケースについて

なおこの厚生労働省の報告書では、夫婦二人のモデルケースの想定支給額を公開しています。 これは、40年間会社員として働いた夫と、専業主婦の組み合わせです。

厚生年金(実際には老齢厚生・基礎年金の両方)を受ける男性と、国民年金(老齢基礎年金のみ)を受ける女性を想定しています。

その金額は 221,277円 です。

夫婦で二人ともに日本の年金を受給される予定の方については、この辺り目安として考えれ頂ければと思います。

※ これから日本の年金を受け始めようという方で、日本・アメリカの両方の年金を1ペニーも減額されることなく、しかも非課税で受けたい方は、私まぁこまで(連絡先は右サイド)ご相談下さいませ。 これからあなたが受けとる日本の年金が「WEP減額対象の非該当」となる申請を、SSA(米国社会保障省)に対して行います。