第3号本人の権利と離婚時の3号分割の違い – 2

昨日の記事-1で紹介した第3号被保険者ご本人の年金と、平成20年(2008年)5月1日に発効された「3号分割制度」は全く別のものであることは、まだご理解頂けてない方が多いと思います。

この年(2008年)あたり、妻の方が急いで離婚の準備のために各地年金事務所に相談にかけこんだので、「3号分割制度が熟年離婚を助長した」と新聞・テレビで報道されて、記憶に残っている方も多いと思います。

ではこの3号分割について説明しましょう。以下は、アメリカに住んでいる日本人夫婦(扶養していた側が2号である場合)にはそのまま該当しますので、よ~く注意して下さい。

3号分割制度(平成20年5月1日以後に離婚等をした場合)国民年金の第3号被保険者であったもの(主に妻)が上の期日より後に離婚等(つまり事実婚の離別も含む)をした場合、相手方(主に夫)の老齢厚生年金の総額を2分割することができます。

とくに2分割だけではなく、夫〇割、妻〇割と取り決めることもできます。この場合調停が必要になってきます。

以下の条件には充分注意して下さい。

請求期限

離婚等をした日の翌日から起算して2年以内

この分割制度により、厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間で分割した場合は、当事者それぞれの老齢厚生年金等の年金額は、分割後の記録に基づき計算されます。

ご自身の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)から、相手方に分割をした標準報酬月額・標準賞与額を除いたその残りの標準報酬月額・標準賞与額に基づき、年金額が計算されます。

分割を受けた方

ご自身の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)と相手方から分割された標準報酬月額・標準賞与額に基づき、年金額が計算されます。

なお、分割後の標準報酬月額・標準賞与額に基づく老齢厚生年金を受けるには、ご自身の厚生年金の加入期間や国民年金の保険料を納付した期間等によって受給資格期間を満たしていることや生年月日に応じて定められている支給開始年齢に到達していることが必要です。

年金分割の効果は、厚生年金の報酬比例部分(厚生年金基金が国に代行して支給する部分を含む。)に限られ、国民年金の老齢基礎年金等には影響はありません。

現に老齢厚生年金を受けている場合は、年金分割の請求をした月の翌月から年金額が変更されます。

なお、合意分割の請求が行われた場合、婚姻期間中に3号分割の対象となる期間が含まれるときは、合意分割と同時に3号分割の請求があったとみなされます。

したがって、3号分割の対象となる期間は、3号分割による標準報酬の分割に加え、合意分割による標準報酬の分割も行われます。

また、「3号分割制度」については、当事者双方の合意は必要ありません。ただし、分割される方が障害厚生年金の受給権者で、この分割請求の対象となる期間を年金額の基礎としている場合は、「3号分割」請求は認められません。

(注意)

    • 分割の対象となるのは、婚姻期間中の記録のみです。
    • 老齢基礎年金を受給するための支給要件は、当事者自身の年金記録によって判断されます。
    • 離婚後、同じ相手と再婚した場合、請求期限は、一の婚姻期間ごとに判断されます。

分割請求の期限

○分割請求期限の原則
分割請求の期限は、原則として、次に掲げる事由に該当した日の翌日から起算して2年以内です。

(1) 離婚をしたとき、
(2)婚姻の取り消しをしたとき、
(3)事実婚関係にある人が国民年金第3号被保険者資格を喪失し、事実婚関係が解消したと認められるとき

※注 事実婚関係にある当事者が婚姻の届出を行い引き続き婚姻関係にあったが、その後(1)または(2)の状態に該当した場合、(1)または(2)に該当した日の翌日から起算して2年を過ぎると請求できません。

○分割請求期限の特例
次の事例に該当した場合、その日の翌日から起算して、1か月経過するまでに限り、分割請求することができます。

  • 離婚から2年を経過するまでに審判申立を行って、本来の請求期限が経過後、または本来請求期限経過日前の1か月以内に審判が確定した。
  • 離婚から2年経過するまでに調停申立を行って、本来の請求期限が経過後、または本来請求危期限過日前の1か月以内に調停が成立した。
  • 按分割合に関する附帯処分を求める申立てを行って、本来の請求期限が経過後、または本来請求期限経過日前の1か月以内に按分割合を定めた判決が確定した。
  • 按分割合に関する附帯処分を求める申立てを行って、本来の請求期限が経過後、または本来請求期限経過日前の1か月以内に按分割合を定めた和解が成立した。

※分割のための合意又は裁判手続きによる按分割合を決定した後、分割手続き前に当事者の一方が亡くなった場合は、死亡日から1か月以内に限り分割請求が認められます。(年金分割の割合を明らかにできる書類の提出が必要です。)

※ここ要注意ですよ。夫が死亡するまでに離婚していなければ遺族年金として夫の年金の総額に近い額(4分の3以上)を受けられたのに、離婚して按分割合にしたら半額の年金になってしまうと言うことです。

詳しくは、お近くの年金事務所にお問い合わせください。

※ これから日本の年金を受け始めようという方で、日本・アメリカの両方の年金を1ペニーも減額されることなく、しかも非課税で受けたい方は、私まぁこまで(連絡先は右サイド)ご相談下さいませ。 これからあなたが受けとる日本の年金が「WEP減額対象の非該当」となる申請を、SSA(米国社会保障省)に対して行います。