昨日、年金を受ける資格期間は過去25年だったものが、今年8月1日からは10年でよいことになりましたと書きました。
● 必要な資格期間が25年から10年に短縮されました
これまでは、老齢年金を受け取るためには、保険料納付済期間(国民年金の保険料納付済期間や厚生年金保険、共済組合等の加入期間を含む)と国民年金の保険料免除期間などを合算した資格期間が原則として25年以上必要でした。
平成29年8月1日からは、資格期間が10年以上あれば老齢年金を受け取ることができるようになりました。
ではこの新しい10年のくくり、皆さんにとって平等となったかと言うとそうでもありません。
1つ大きな違いは、何らかの理由があって年金の請求が遅れた人々。例えば、アメリカに住んでいて日本の年金が受けられることを知らないまま既に80歳、90歳になっている方々に関係します。
まず下のAさんの経歴をご覧ください。
Aさんは日本で5年間会社員としてお勤めしたあと渡米しました。 その後数年経ってからアメリカ市民権を取得しています。 渡米後もアメリカ市民権を得たあともずっと仕事をしておりSSA税(ソーシャルセキュリティ税)を支払っていました。
A さんの場合は今回の法改正が無くとも、もともと25年の資格期間を満たしていますね?
日本の社会保障制度に加入しいた期間+カラ期間+アメリカの社会保障制度に加入していた期間>25年
Aさんには、60歳から受けられるはずであった22年分(現在82歳)の年金が一度に支払われました。 このクライアントが受けた時効特例支給の年金を含めますと総額で10万ドル(1,120万円)を超えています。
さて下のBさんはどうでしょうか?
生まれた年も就職した年齢も、渡米して市民権を得た年もすべてAさんと同じです。違っているのは、渡米後結婚してずっと専業主婦。アメリカ国内では一度もSSA税金を払っていませんでした。
もちろん、配偶者である夫は働いて税金をおさめており、IRSへの税金はジョイント(夫婦ともに)で申告しています。が、アメリカには日本のような第3号被保険者(専業主婦も社会保障制度に加入している)という考え方がそもそもありません。
米国では本人が労働しない限りは社会保障制度に加入できない(SSA税を払っていない)のです。
Bさんは、今年の法改正の「資格期間は10年でよい」ことになって初めて、日本の年金が受けられることになりました。
日本の社会保障制度に加入しいた期間+カラ期間=10年
さてBさんも既に82歳です。過去の年金は支払われるのでしょうか?
Bさんは今年8月1日に初めて年金の受給権が発生しています。ですので、過去に受けられた年金は8月分までしかさかのぼりません。 時効特例には該当せず、今月(2017年10月)お手続きを始めますと恐らく第一回目の年金の支払いは来年2月からとなりますので、過去の分の年金は4カ月分となり、数万円程度と推測されます。
※ これから日本の年金を受け始めようという方で、日本・アメリカの両方の年金を1ペニーも減額されることなく、しかも非課税で受けたい方は、私まぁこまで(連絡先は右サイド)ご相談下さいませ。 これからあなたが受けとる日本の年金が「WEP減額対象の非該当」となる申請を、SSA(米国社会保障省)に対して行います。