8月18日で書いたブログですが:
年金事務所のデータベースに「記録がちゃんと有った(!)という方は残念」と書きました。この説明に納得がいかない方はいますか?
記録がデータベースにきちんと保管されている場合、まるで不利なような。「ような・・・」ではなく65歳を超えているならば、やはり記録がちゃんと保管されている方は不利です。
65歳未満の方には無関係ですが、現在70歳、80歳で初めて年金が受けられると知ったとあれば、関心をよせるところがありますね。本来なら60歳から受けるはずだった過去の年金の総額。
年金手帳を大切に持っていました。日本に行ったらデータベースにも記録が有りました。とすると、年金の請求が遅れたのは本人の責任になります。時効5年が成立してしまいます。つまり、5年より昔の年金は戻ってきません。
逆に年金証書も何も持っていない。年金事務所へ行ってみたが「あなたの加入記録はありません」と言われたら、これはシメタ(!)ものです。日本年金機構に非があることが認められるからです。そこからあなたの記録の調査が始まります。
10年前くらいですと、社会保険庁のデータベースで年金記録が出てこない方は大抵「門前払い」になっていました。
「お引き取り下さい」と言われるのが関の山でした。
現在の日本年金機構では記録がデータベースに見当たらないからといってお客様を突っ返す、ということはなくなりました。 ここでようやく年金の資格期間照会依頼書という書類にサインして、調査をしてもらいます。
調査を始めたということは、日本年金機構ではあなたの年金記録を保管していなかったということですから、データを復旧できれば過去に受けるはずの年金は5年を超えて昔の部分も全額支給されます。
おめでとうございます。 時効特例法が適用されます。
旧)社会保険庁がコンピュータのシステム導入前まで使用していた紙の台帳や、それを写真に収めたマイクロフィルムから掘り起し作業が行われます。
それでも無いと言われたら(実はこの可能性が大きいのですが)、私の出番です。
社会保険庁や日本年金機構が「該当データ無し」と回答してきた多くの事例を、私はこれまでくつがえしてきました。
さて皆さんには、このデータ復旧の点でよ~くご注意頂きたいケースがあります。
今から7年前、83歳になろうとする女性が調査依頼に来たことがありました。
彼女の職歴から、F県に有ったという3つの事業所が浮かび上がりました。個人商店、米軍基地内の売店、小さな事務所です。日本の役所がもっとも苦手としている調査対象です。
この職歴ですと日本年金機構は真面目に調査してはくれません。少し時間をおいてから「貴方の年金記録はございませんでした」と回答されます。
逆に私にとっては最も得意とする調査対象です。さっそく調査員を東京からF県へ送り、彼らの土地勘を頼りに年金記録の復旧に入りました。当時日本にあった米軍基地の邦人従業員記録は、特殊なところに保管されています。
2010年8月、無事この方の年金受給資格を復旧させました。旧社会保険庁はその間に日本年金機構となり、正式な調査回答は2ヶ月後(役所って事務処理に時間がかかりすぎ)に私の手元に届きました。
文面「この方の年金の受給資格を訂正(復旧)しました」
さぞかし喜んでくれるであろうと、私は勇んで依頼人に電話をしました。が(!)受話器から聞こえた返事を今でも忘れることができません。
「不治の病を医者から宣告され、この先2ヶ月も生きられるかどうか知れない。年金はあきらめます」と。
え~~~っ!!!
日本年金機構が当初、彼女の年金記録を保管していなかったことは明白。ということは日本側の責任です。彼女には60歳からの23年分の年金が支払われます。それなのにモッタイナイ!
あきらめるのか(?)いやもちろん、私もがんばりましたよ。病気の治療ならお金がかかるだろうから、なおさら年金受けませんかと説得もしました。が、相手はガンとして年金を受けないと拒否。
その後もこの依頼人の具合が心配で、折をみては電話を差し上げお見舞いカードを書いたりしていたのでした。今思うに私はソートーなアホでした。
それから半年も過ぎたある日、日系のスーパーでその依頼人とバッタリ会ってしまったのですね。これが、、、ずいぶん元気そう。
バツが悪そうにそそくさとその場を去ったこの女性は後日、とつぜん私の事務所へ電話してきて「23年分の年金が払われるなんて言って、あなたは嘘つきだ!」とずいぶんな怒りよう。
さて、一体何があったのでしょか? 時効特例法をご理解の方には想像ができるかもしれません。
※ これから日本の年金を受け始めようという方で、日本・アメリカの両方の年金を1ペニーも減額されることなく、しかも非課税で受けたい方は、私まぁこまで(連絡先は右サイド)ご相談下さいませ。 これからあなたが受けとる日本の年金が「WEP減額対象の非該当」となる申請を、SSA(米国社会保障省)に対して行います。