年金の受け取り額が少なく、貯金もない内縁の夫

この話は、Windfall Elemination Provision (棚ぼた防止規定)のコンサルティングだけを依頼してきたクライアント、アメリカのソーシャル・セキュリティの減額を回避しつつ、かつ日本の年金を満額受け始めたい方からの相談内容からスピンアウトしたものです。

今ある貯蓄と少ない年金で老後生活は送れますか?

相談者

ハナエさん
女性/無職/52歳
アパートメント暮らし

同居人

内縁の夫(自営業/54歳)と犬

相談内容

6年前から内縁の夫(54歳)と暮らしています。 結婚する予定はありません。 夫には貯蓄がいっさい無く、将来受けられるソーシャル・セキュリティの額も少ないと察します。 なので、元気なうちは(62歳をすぎても)働いてもらうつもりです。

私はコロナ禍で現在無職。 62歳から受けようと思っているソーシャル・セキュリティは月額で900ドルくらいになります。 貯蓄は18万ドル(約1950万円)ありますが、内縁の夫にアテにされたら困るので、貯蓄額や保険の加入金額については一切言っていません。

このような状況で2人、老後生活を送れるでしょうか?  今しておくべきことはありますか?

現在体調があまり良くなく、ソーシャル・セキュリティを受けるまではちょうど10年有ります。失業保険を受けていますが仕事は探していません。 仕事は探しているフリをしないといけないんですけどね。

生活費は内縁の夫の収入でやりくりしています。

え~~~! こんなオチぃ!?

貯金がなく、将来のソーシャル・セキュリティ受給額も少ないであろう内縁の夫に「元気なうちは働いてもらって」って・・・ その夫の収入で食いつないでいるとは・・・

すごいな~ しっかりしてるというか。 日本の女性は強し。 

専業主夫という扶養家族がいる私とは、真逆のタイプ。

さて相談はまだ続きます。

私は生活保護を受けていた親に育てられたため、自分の子どもには辛い思いはさせまいと、離婚後はずっと働いてきました。 子どもは2人いますが、ともに自立し結婚もしています。 孫ができればわずかでも資産を残したいと思っています。

ますます、たくましい・・・

家計収支データ

  1.  失業保険(Unemployment Insurance Benefits) の受け取り額
    月額 $1,800
  2. 保険料の内訳
    ・終身保険 (60歳で払込終了、死亡保障2万ドル) = 保険料 $60/month
    ・Medical & Dental Health Insurance (Covered California)  = 保険料 $55/month
    ・日本で入っている共済(病気死亡400万円、病気入院4500円)= 保険料:3000円
  3. 投資について
    一度アメリカ株投資をやって2万5千ドルほど損をし、二度としないと決めている(※1)
  4. 雑費について
    愛犬が高齢のため医療費がかかっている。

3つアドバイスがあります。

アドバイス 1:「貯めどき」をどれだけ継続できるか
アドバイス 2:少ない資金で生活する術を身に付ける
アドバイス 3:内縁の夫との「今後」を決めておく

アドバイス1:「貯めどき」をどれだけ継続できるか

事情はいろいろありましょうが、内縁のご主人のようなケースは私自身がコンサルティングを通じて少なからず遭遇するタイプの男性のようです。

貯蓄もなく、自営業で毎年のタックスリターンでは節税にはげみ、経費を高く計上してSSA Tax(ソーシャル・セキュリティ税)の支払い額を最小限にしている方。

元気だから働けば何とかなるさ(!)という、良く言えば楽観主義、悪く言えばその日暮らしのような人。

こういう人といっしょになった場合、元気なうちはいいのですが、働けなくなると一気に家計が苦境に陥ります。 ハナエさんが貯蓄額を彼に明かしていなくても、多少なり持っていることは知っているでしょうから、すでにアテにされていると思って下さい。

実際、病気やケガでダウンしてしまった場合、内縁の妻がなにもしてあげないはずがありません。 (その時点で夫とは別れられるのであれば、立派。大した女性です。)

一方、ハナエさんご自身の老後ですが、62歳からソーシャル・セキュリティを受け始めるとして月額900ドル。 これに日本の年金はわずか月1万円(※2)ですから合計1000ドル弱。 両国の公的年金だけが老後の収入となると、間違いなく苦しい老後となります。

そうなると、今ある貯蓄18万ドルはまさに虎の子。 これをどう大事により長く老後資金として保たせるかが大事になってきます。

内縁の夫には元気なうちは働いてもらおうというのは理想ですが、60歳以降、男性は脳溢血、心臓疾患、前立腺の病気などの発症率がグンと上がります。 そうなった場合、治療費から生活費、不慮のあれこれまで、すべてがハナエさん自身の経済にのしかかることは必至です。

一方、考えようによってはこの時期というのは、ハナエさんは状況的に「貯めどき」なのです。

毎月もらっている失業保険の額が $1,800 これってまるまる貯蓄できるんですよね? 年間にして $21,600  できる限り貯蓄ペースを落とさず継続させてください。 現在 Pandemic のエクステンションは52週間、ちょうど1年の失業保険を受け取る計算になります。

できれば、この間に体調を整えて、52歳とまだお若いのですから次の仕事を見つけることを薦めます。

でなければ、失業保険の収入が切れた時点で家計は「使いどき」に変わります。 「貯めどき」に蓄えたお金は、内縁の夫の万一のための治療費・生活費に充てる準備をしておきましょう。 貯めどきに生活費を一切まかなってくれた夫です。 2歳上ですから順番から言うと夫を看取る立場になると思われます。

アドバイス2:少ない資金で生活する術を身に付ける

もうひとつの対策は、少ない資金で生活できる術を身に付けること。

実際、私のクライアントの中には、本当に少額の年金だけで老後を過ごしている人もいます。

生活費は夫婦2人でも月$900 というケースも決してめずらしくありません。 この中にアパートの家賃は入っていませんが、ハナエさんお一人のソーシャル・セキュリティの額であれば生活できている夫婦もいるということです。

しかも、決して無理をしていない。 必死に節約しているわけでもない。 それどころか、楽しく生活をしている。ここがとても重要なところ。

老後の楽しみというと趣味にはげんだり、旅行したりというイメージがありますが、こういう人たちは違います。 いろんなコミュニティに出かけてそこの活動をしている方。 地域の美化とか防犯対策とかボランティアを逆に楽しんでやっています。

こういう例は、年金が少なく不安に思っている人にとって、参考となるひとつのモデルケースだと思います。 どう楽しみを見出すかは個々に違って構いません。 ともあれ、それを自分自身で見つけ出すことができれば、老後資金の不安は解消されていくはずです。

アドバイス3:内縁の夫との「今後」を決めておく

将来の家計負担を減らすため、住宅について考えておく必要があるでしょう。

アパートメントの賃料はここでは触れませんが、どうあっても一家の支出で一番大きいのが住居費のこと。 今のうちにシニア向けに賃料を安くしている物件を見ておくとか、市や郡が設営している低所得者のための住居についてしらべておきましょう。

現在の賃料の15%から半額まで抑えることができるはずです。

もしもハナエさんの貯蓄からこの際やすい物件を購入するとすれば、格安物件も場所にこだわらなければあります。

カリフォルニア州をでていく人の数は増えています。 いま不動産の価格の動向をみておくことも重要です。

夫婦どちらかが運転できるのであれば、多少公共の交通が不便な地域で良い物件を見つけることは可能です。

※1私個人としては、現在無職で時間はたっぷりあるでしょうから、株の投資・投機に再チャレンジしてほしいなと思ってます。 損しない方法でコツコツ稼いでいけば、10年後には10倍いえ100倍も悠々なんですけどね~ こればっかりは本人が「二度とやらないと決めている」からには、どうにも奨めることができません。


※2日本とアメリカ両国の被用者保険制度(厚生年金とソーシャル・セキュリティ)に加入していた期間の合計年数によっては、内縁の夫(妻)に振替加算等の加給の年金が付与されることがあります。