寡婦(かふ)加算のこと、中高齢(40~65歳)

寡婦(かふ)とはなにか? からお話しましょう。

国語辞典をひきますと「おんなやもめ」と出てきます。 配偶者を亡くした女性のみにつかいます。 アメリカ在住者にとっては英語の Widow の方がピンとくるでしょうが、寡婦は女性だけに限られるところが日本語の優れたところというのか性差別なのか。

日本の年金の制度に限っていいますと女性であるがゆえに有利な制度が、この中高齢の寡婦加算の年金です。

まず日本年金機構の説明をこまかく区切って説明します。

中高齢寡婦加算

遺族厚生年金(長期の遺族年金では、死亡した夫の被保険者期間が20年以上の場合(中高齢者の期間短縮の特例などによって20年未満の被保険者期間で老齢厚生年金の受給資格期間を満たした人はその期間))の加算給付の1つです。

出典:日本年金機構オフィシャルサイト(2020年3月6日更新)

この黒の太字部分、被保険者期間が20年以上の中には、アメリカ合衆国内で、ソーシャル・セキュリティ税(SSA Tax) を納めた期間も含まれます。(通算期間) ですので、日本の厚生年金保険に加入していた期間が短くても、たとえ1年、いや1か月でも、アメリカで SSA Tax を納付した期間と併せて20年以上あれば、中高齢寡婦加算の支給対象者となります。

遺族基礎年金は子どものいない妻には支給されませんし、子がいてもその子が18歳(18歳の誕生日の属する年度末まで)または20歳(1級・2級の障害の子)に達すれば支給されなくなりますが、

配偶者(この場合は夫)が亡くなった場合に支給される遺族年金は2つあります。 1つが遺族厚生年金。 こちらはどの寡婦 (Widow) にも支給されます。 満額ではなく4分の3です。 これに対し遺族基礎年金は、子のある妻にしか支給されません さらにこの「子」の定義も年齢や障害の有無で違います。

子供がいなくても、親の年齢や健康状態によっては面倒をみたり介護が必要になってくるのも40歳あたりからでしょうか? 急に社会復帰は難しい、フルタイムで仕事をして収入を得ることが困難であろうという女性の諸事情をかんがみて、この寡婦加算の制度は現在も生きています。

夫が死亡したときに40歳以上で子のない妻(夫の死亡後40歳に達した当時、子がいた妻も含む)が受ける遺族厚生年金には、40歳から65歳になるまでの間、中高齢の寡婦加算(定額)が加算されます。

この寡婦加算(定額)の部分が馬鹿にできないのですよ。 結構な金額なのです。 しかも中高齢の男子(40~65歳)には出ない、子のいない女性だけに与えられる特権なのです。 女性はこの年齢で社会復帰することが難しい、自力で収入を得ることができないと頭っから決めてかかっていた昔の制度を今も継続・維持しているのです。

 

せっかく有る制度は利用しましょう。

ということで、その定額の寡婦加算の年金、いったいいくらくらいなのか?といいますと:

 

【寡婦】加算額の計算式

遺族基礎年金の基本額(満額:40年間保険料を支払った場合の額)x 3 / 4

となります。 国民の年金を40年間支払った金額の満額 の 4分の3 ですよ。

令和4年度の基本額は、777,800円 (年)です。 昨年より少し減りました。 (マクロ経済の説明をご覧ください) なので:

年間 58万3千350円 (月約4万8千円) 

となります。 これに遺族厚生年金が加算されますから、けっこう良いんじゃないですか?

妻が65歳になると自分の老齢基礎年金が受けられるため、中高齢の寡婦加算はなくなります。

出典:以上4つの引用 日本年金機構オフィシャルサイト(2020年3月6日更新)

最後に、この「自分の老齢基礎年金」が受けられない女性(65歳以上で基礎年金部分がない)はどうなるのか? ということなのですが、救済措置があります。

経過的寡婦加算

昭和31年4月1日以前に生まれた65歳以上の妻の場合、遺族厚生年金の額に一定額が加算される

出典:厚生年金保険法(昭和60年)附則73条1項 別表9

この一定額の加算は、遺族である妻の生年月日によって違ってきますので、具体的な数字は日本年金機構の相談窓口(各地の年金事務所)で伺って下さい。

※ これから日本の年金を受け始めようという方で、日本・アメリカの両方の年金を1ペニーも減額されることなく、しかも非課税で受けたい方は、私まぁこまで(連絡先は右サイド)ご相談下さいませ。(有料)SSA(米国社会保障省)に対し、あなたが受けとる日本の年金がWEP減額対象から外れていることを確認・申請します。