二重加入のついでに、二重国籍の話

15年も日本の年金の仕事をしていますと、こういう話を聞かされることがあります。

「私はアメリカ市民権を一応取ったけれど、日本の国籍は放棄していないから戸籍はバツ(✖)になってないわよ。二重国籍なの・・・」

その人が生まれた年と国によりますが、これはある意味とんでもないアンポンタン発言です。

なぜなら、(アメリカはどうであれ)日本国は基本的に「二重国籍を認めていない」国家だからです。

そもそも日本の国籍を喪失するとはどんな場合か? 国籍法上は大きく分けて4つありますが、今回そのうち3つだけ挙げておきます。

先の発言をした方は、次のケースに当てはまります。

(国籍法第11条第1項)自己の志望による外国国籍の取得
日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。

(第2項)
外国の国籍を有する日本国民は、その外国の法令によりその国の国籍を選択したときは、日本の国籍を失う。

もとは邦人だけれども、自分の意志でアメリカの市民権をとった者は自動的に日本国籍を失います。これは総領事館で国籍喪失届を「提出しようが拒もうが、関係なく」という意味です。

現に、アメリカ市民権を取得する際にアメリカ国旗に宣誓して国家を斉唱、その日のうちに永住権を放棄してグリーンカードを取り上げられますね? 戸籍に✖がついてなくても、国籍の喪失は立証されます。どうあがいても無駄です。

 

 

 

 

 

では、自分の意志とは関係なくアメリカ市民権をとった場合ってどういうこと(?)かと言えば、アメリカで出生した場合です。

日本人である父または母が新生児にも日本国籍を与えたいと希望するのであれば、大使館・領事館に出生届を提出して日本国籍を一時与えることはできます。

しかし、アメリカで出生して一定の期間に日米両国の国籍を持つ者であっても、22歳までにはどちらかの国籍を選ばなければなりません。

(国籍法第12条)
出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれたものは、戸籍法 (昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時にさかのぼつて日本の国籍を失う。

(国籍法第13条第1項)外国の国籍を有する日本国民は、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を離脱することができる。

(第2項)1項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を失う。

ここまで読まれたら、22歳以上の者で二重国籍の者は基本、存在しない*ことがお分かり頂けるでしょうか?

ではなぜこのブログで二重国籍者はいない(!)という話をしなければならないか?

ごくごく少数ですが、日本人で渡米後に早くにアメリカ市民権を取得してしまっている方で、且つ、アメリカ国内で働いたことがない(ソーシャル・セキュリティ税を払ったことがない)というケースに遭遇することがあります。

そうしますと、日本国籍を有するまま日本国外に住んだ期間(カラ期間=合算対象期間)も無ければ、アメリカ市民としてソーシャル・セキュリティ税を払った期間(通算期間)も無い者とになります。

が、こういう方に限って「私は日本国籍の喪失届を出していないから、二重国籍ですよ。日本の国籍は持っています」と主張するのですよね~

これは無理。どう頑張っても日本国籍は失っているのです。日本国籍を取り戻すには簡易帰化という手がありますが、過去に遡って帰化はできません。

結果、日本の年金は受けられません。

*1985年1月1日より前に、自己の意志と関係なく二重国籍でありかつ22歳以上である者については二重国籍を有する者とみなす。