衆議院選挙を直前にどの選挙区のどの候補者も、「年金の支給を開始する年齢を遅らせるべきか?」という話題を避けて演説する訳にはいかない状況に追い込まれている。
って、今さら何を言ってんだか!? 高齢化、終身雇用制の崩壊、定年の年齢繰り下げ、その他もろもろ。どれもが必然的に支給開始の年齢を遅らせる方に向かっているではないか。
この期に及んで「いや、遅らせるべきではない」なんて呑気なことを真顔で言う候補者がいたら、それは現実に目をそむければいくらか票を稼げるかもしれないと踏んでいるアホである。国民はそこまで馬鹿じゃない。
私の事務所に最近一人の中年男性が相談に見えた。45歳。ご自身の老齢年金の相談でやってくるにはまだまだ若い。にも拘わらず「どうしても(!)」ということでアポイントを取られた。
「100歳まで生きるとしたら、どれだけ老後資金をためなければならないんだろう?と思いまして・・・」
今となっては、誰も避けて通れない100歳という現実的なボーダーライン。だって日本では100歳を超える日本人が来年にはなんと、7万人になろうとしているのですぞ。
寿命が長くなるってことは、老後が長くなるってことですね。50数年前に日本の皆保険制度ができた時は、第2号(公務員・会社員)の定年が60歳だったわけで、しかも一度入社したら終身そこで勤め上げること前提でした。
当時(昭和36年)、60歳過ぎって結構なご高齢だったのです。それが今の60代・70代って若くてピンピンしてますよね。
この45歳=秀一さんは不安に駆られたそうだ。先月新聞で、政府が「人づくり革命」について議論する「人生100年時代構想会議」を立ち上げた、という記事を目にしたからだ。
秀一さんはカリフォルニア州サンフランシスコベイエリアの南・シリコンバレーで SE として勤めてはや20年。勤務した会社はあちこち変わったものの一環してシステム・エンジニアでやってこれた。現在の年収は税込みで10万ドル強。
しかし2人の息子の大学と大学院進学で大枚をはたいてしまった。両親が日本人の場合、アメリカに在住していても子供の学費は大学まで親が出す家庭が多い。アメリカ人の両親だとこうはいかないんですけどね。
息子2人の入学金と授業料、ドミトリー(学生寮)やアパートメントの家賃その他全部を負担して、それまであった貯金はゼロになってしまったそうだ。ひと財産使い果たした次第である。
今後の人生にお金はいくら必要か? 日本とアメリカから受ける年金の額を踏まえて私のところへ相談に見えたわけです。
ですが、ここからが問題です。シリコンバレーで SE のまま働き続けるには年齢45歳はギリギリ。
多くの場合、この年齢までに起業しているか、会社に留まって管理部門へ行くかという選択を迫られます。
秀一さんは現在の会社に留まることを決めました。45歳から65歳までの20年間は長い。
秀一さんの生まれた年ですと、ソーシャル・セキュリティが満額になるのは満67歳です。秀一さんはアメリカのソーシャル・セキュリティも70歳まで働いて頑張って、それから受給をと考えています。
現在の制度では、日本の年金もまた70歳まで繰り下げ請求することができます。
アメリカには定年という制度が無いのはそれが年齢的差別になるからですが、これが曲者でして、会社側は雇用をいつでも理由なしに終わらせるレイオフ(一時解雇)といういわゆるリストラがあります。70歳まで働けるかどうか保証はありません。
もしも50代・60代でレイオフされたら、その後は時給がどんなに安くてもなにか仕事を見つけて70歳まで凌ぐ覚悟だそうです。ですが・・・
70歳からアメリカと日本の年金を受け始めて、その後100歳まで生きるとして、老後30年!
家のローンは払い終わっているとしても、生活費はどんなに切り詰めても夫婦2人で月に$4,000は必要ですね。$4,000 x 12 (ヶ月)x 30(年)= $1,440,000
144 万ドル! 日本円で1億6000万円! これに加齢とともに医療費を考えますと・・・そら恐ろしいです。
この毎月の生活費の$4,000をソーシャル・セキュリティと日本の年金で賄えるとしたら?
ほらね! アメリカの401kを早めに解約して、その全額を日本の国民年金保険料に充てて過去分も払っちゃった私って、かなり賢いでしょう?
あ、そうそう私が「年金の支給開始年齢は遅らせるべきだ」と考えている理由の一つは、日本の企業の退職年齢を上げさせるよう助長することもあります。
定年が70歳まで引き上げられてしかるべきです。だって今どきの日本人の70歳、若すぎるでしょう。
※ これから日本の年金を受け始めようという方で、日本・アメリカの両方の年金を1ペニーも減額されることなく、しかも非課税で受けたい方は、私まぁこまで(連絡先は右サイド)ご相談下さいませ。 これからあなたが受けとる日本の年金が「WEP減額対象の非該当」となる申請を、SSA(米国社会保障省)に対して行います。