妻が年上です。加給年金はもらえますか?

加給年金については、これまで何度か記事にしてきましたが、

加給年金 – 特別支給の老齢年金を受けている方(2018年10月)

加給年金ってなに? いくらもらえるの?(2020年10月)

知ってる人だけに支給されてました – 振替加算と加給年金(2021年2月)

え? 加給年金に加えて特別加算金って?(2022年5月)

クライアントと話をしていると基本的な支給条件がわかっていなかったことが発覚し、驚くことがあります。 その情報のヌケのひとつの例を今日はアップしましょう。

Q:私は会社員、4歳年上の妻がいます。加給年金はもらえますか?

私は現在50歳、サラリーマンです。 54歳の専業主婦の妻がいます。 会社の先輩たちが「妻が専業主婦だと、自身の年金に加給年金という上乗せ分がもらえる」という話をしていました。 私もこの加給年金を受け取れますか?

A:年上の妻がいる夫は、加給年金は受け取れません。

加給年金とは、20年以上の厚生年金の加入期間がある人※1が、65歳に到達した時点で、生計を維持されている65歳未満の配偶者、または子どもがいる場合、厚生年金に加算されるものです。

条件のうち「生計を維持されている」という部分ですが、同居していることが基本となりますが、かりに別居していても、仕送りをしている、健康保険の扶養親族の内に入っている場合には「生計を維持されている」配偶者や子供として認められます。

1例として、高校生(18歳到達年度の末日までの子)だが両親とは離れた場所に住んでおり、仕送りを受け健康保険も扶養家族となっている場合があります。

さて配偶者の場合、生計を維持されている妻(または夫)は、前年の収入が妻(または夫)だけで850万円未満(所得が655万5000円未満)ということが条件があります。

ただし、配偶者自身が厚生年金に20年以上加入※1したのちに厚生老齢年金を受給している間、もしくは加入期間は関係なく障害年金を受け取っている間は、配偶者の加給年金は支給停止されますのでここは重要です。

※1 この「厚生年金に20年以上加入していた期間」には、アメリカでソーシャル・セキュリティ税(SSA税)を納めた期間も被用者期間として通算されます。(日米社会保障協定2005年より)

この質問者のように年上の妻を扶養している場合は、加給年金は加算されません。 夫が65歳に到達したときに、妻は69歳になっているためです。

これが、夫が年上で生計を維持されている年下の妻がいる場合には、夫が65歳に到達すると、配偶者の加給年金額が加算されます。

妻が65歳になると、配偶者加給年金額の加算が終了しますが、妻が65歳以降に老齢基礎年金を受け取り始めると、妻に振替加算がつく場合があります。

振替加算は、妻の年齢によって決められており、年齢が若くなるにつれて減額され、昭和41年4月1日生まれの人までが対象となります。 妻が年上の場合は、配偶者加給年金額は加算されませんが、条件によっては、妻に振替加算が付く場合があります。

配偶者が年上か年下かで支給の有無が変わってしまうなんて、ここがアメリカの Benefits for Spouse とは違う点ですね。

※2 これから日本の年金を受け始めようという方で、日本・アメリカの両方の年金を1ペニーも減額されることなく、しかも非課税で受けたい方は、私まぁこまで(連絡先は右サイド)ご相談下さいませ。 これからあなたが受けとる日本の年金が「WEP減額対象の非該当」となる申請を、SSA(米国社会保障省)に対して行います。