駐在員あるある – 日本の年金とソーシャルセキュリティ

私が年金の「受給資格を創る」仕事を始めてからの10年くらいは、とうに70歳を過ぎていながら初めて「もしかして年金を受けられるんじゃないか?」と問い合わせてくる方々がほとんどでした。

ところがこの数年でクライアントの年齢層はぐっと若くなり、相談の内容もガラリと変わりました。

八割かたが60代。あとは50代後半です。50代後半の年金の受給手続き代行の予約が入っているため、私のスケジュールは2023年までこの仕事が入っています。

年齢層だけが変わったわけではなく、この5年のクライアントのほとんどが駐在員の男性ということが相談の内容をガラリと変えました。

まず第一に相談をもちかけられるのがこれ、

Q1. 日本の年金の請求手続きをすると、アメリカのソーシャルセキュリティが減らされると聞きました。 この減額を回避する方法を教えて下さい。

この問い合わせばかりです。 なるほど、何度もこのサイトで豪語しているとおり、アメリカのソーシャルセキュリティを1ペニーも減額されることなく両国の老齢年金を丸々受け取れるように合法的にできるのは、全米でただ1人、私だけです。 そこは読んでくれているようです。

答えは:

A1. その秘策だけ教えるほど、私はお人よしでしょうか? どうやら、年金の請求手続きを代行することが私の仕事だと思ってらっしゃる人がまだ多いようです。 違いますよ~

私の仕事は日本の年金を受けてもアメリカのソーシャルセキュリティを減額されないようにすることです。

ソーシャルセキュリティの減額を回避することで15年やってこれました。 ノウハウを他者に教えることはありません。

両国の老齢年金をどちらも減らされることなく全額受けたい方は、日本の年金の請求手続き一切を私に丸投げして頂くしか方法はありません。

Q2. アメリカと日本のそれぞれの老齢年金には税金がかかりますか? これを非課税にする方法はありますか?

A2. ソーシャルセキュリティの場合、よほど受給額が少なくない限りは課税対象となります。 これは皆さんご存知ですね?

日本の年金も年間の受給総額が一定額を超えますと課税の対象になります。 その限度額の目安ですが、

  • 65歳以下の方の場合72万円(年額)まで
  • 66歳以上の方の場合は120万円(年額)まで

これは日米間の租税条約に関する届出に署名するかしないかの「目安」と同じですね。

租税条約に関する届出書(日本と米国間)について

 

Q3. 適用証明書の交付を受けるための要件のひとつに、アメリカに派遣される以前に原則として6ヶ月以上継続して日本で雇用され就労している必要がありますが、協定発効日以前からアメリカへ派遣されている人は、どのような取扱いになるのですか。

A3. いきなり適用証明書ということばがでてきました。 なにそれ!?

日本とアメリカの双方の年金制度に二重に加入しなくても良いように、アメリカへ派遣される方は2005年以降、日本で年金の保険料を納めていることを理由に「適用証明書」という証明が発行されます。 海外派遣社員(駐在員)は、これをもってアメリカのIRSに申請を出します。

多くの場合、雇用主(会社)が雇っている税理士がこの手続きをしてくれますので、当の本人はこの適用証明書が自分に発行されていることさえ知らないこともあります。

駐在員の現地(この場合はもちろんん、アメリカ)でのお給料から、ソーシャル・セキュリティ税の納付が免除されます。

二重加入についてもっと詳しく知りたいという方はこちら:

二重加入(日本とアメリカ)の防止について


さてQ3の答えに戻ります。 2005年の発効日前から既にアメリカに派遣されている者はどうなるのか? 当然この要件は適用されませんので、他の要件を満たしていれば適用証明書の交付を受けることができます。

このように、駐在員・モト駐在員が将来受ける日本とアメリカでの老齢年金を検討する上では、この日米社会保障協定が施行された2005年の前と後ではかなり違った取り扱いとなります。

ウレシイことに、駐在員の方々は協定の内容をよく理解している方々ばかりなので、最近はほんとに仕事が楽になりました。

Q4. 日本からアメリカに一時派遣された人は、アメリカの社会保障制度を加入免除されても、アメリカの社会保障番号(Social Security Number)を取得できますか。

A4. アメリカの社会保障制度への加入が免除されることと社会保障番号の取得は関係ありませんので、加入免除されても社会保障番号は取得できますし、一般のアメリカ居住者と社会的待遇(身分保障、銀行口座開設、運転免許の取得等)に差は生じません。

Q5. 通算による年金は、いつの分から受けることができるのですか。

A5. 協定発効によりはじめて、通算による年金を受けることができるようになる場合は、2005年10月1日に受給権が発生したことになります。
この場合、アメリカの年金については、2005年10月分の年金から支給され、日本の年金については、2005年11月分の年金から支給されることになります。

Q6. アメリカの年金の請求に関して、特に注意すべきことはありますか。

A6.  アメリカの老齢年金の請求は、受給権発生の3ヶ月前から可能で、老齢年金の請求手続きが受給権発生から6ヶ月以上経過した場合、年金自体が受けられなくなるわけではありませんが、時効が適用され、遡りは6ヶ月前の年金までしか認められていませんので、注意が必要です(遺族年金では6ヶ月、障害年金では12ヶ月)。

特に、協定発効日に年金を受ける権利が発生する場合は、協定発効日後6ヶ月以内に手続きをされることをおすすめします。