1月16日、日本では年金制度の改革案がまとまりました。
現役で働いている、いわゆる被雇用者が運用する商品を選べる確定拠出年金(企業型 DC)や iDeCo については、アメリカ在住の皆様には無関係なので割愛します。
アメリカに住んでいてこれから年金を受けようか、という年齢の方が注目すべきポイントはただ1つ、
通常、老齢年金は65歳で満額になりこの年から受給開始になる。 これを現行では70歳まで繰り下げることができました。 今回の改正では、
75歳まで繰り下げ
られるようなります。
繰り下げると年金額は当然増えるのですが、現行70歳までの繰り下げで42%増しでした。
改正案では75歳まで繰り下げられるようになり、84%増しとなります。
いいような悪いような・・・どっち?
ってことなんですが、例えば65歳で受ける年金の受給額が10万円の場合を想定してみてください。 70歳まで繰り下げて42%増しにしますと14万2000円ですね。 75歳まで繰り下げて84%増しになると18万4000円となります。
ではそれぞれ、65歳、70歳、75歳で受給を開始してその累積額を比較してみましょう。 どの時点(年齢)で累積額が同額になるでしょうか?
年齢 | 65歳 | 66歳 | 67歳 | 68歳 | 69歳 | 70歳 | 71歳 | 72歳 |
65歳で開始 | 100,000 | 200,000 | 300,000 | 400,000 | 500,000 | 600,000 | 700,000 | 800,000 |
70歳で開始 | 142,000 | 284,000 | 426,000 | |||||
75歳で開始 |
73歳 | 74歳 | 75歳 | 76歳 | 77歳 | 78歳 | 79歳 | 80歳 |
900,000 | 1,000,000 | 1,100,000 | 1,200,000 | 1,300,000 | 1,400,000 | 1,500,000 | 1,600,000 |
568,000 | 710,000 | 852,000 | 994,000 | 1,136,000 | 1,278,000 | 1,420,000 | 1,562,000 |
184,000 | 368,000 | 552,000 | 736,000 | 920,000 | 1,104,000 |
81歳 | 82歳 | 83歳 | 84歳 | 85歳 | 86歳 | 87歳 | 88歳 |
1,700,000 | 1,800,000 | 1,900,000 | 2,000,000 | 2,100,000 | 2,200,000 | 2,300,000 | 2,400,000 |
1,704,000 | 1,846,000 | 1,988,000 | 2,130,000 | 2,272,000 | 2,414,000 | 2,556,000 | 2,698,000 |
1,288,000 | 1,472,000 | 1,656,000 | 1,840,000 | 2,024,000 | 2,208,000 | 2,392,000 | 2,576,000 |
89歳 | 90歳 | 91歳 |
2,500,000 | 2,600,000 | 2,700,000 |
2,840,000 | 2,982,000 | 3,124,000 |
2,760,000 | 2,944,000 | 3,128,000 |
横にぐーっと広がる表を4段に分けて表示してみました。 おわかり頂けるでしょうか?
それぞれの開始年齢(65歳、70歳、75歳)で年金の受給を開始した場合、どの時点(歳)で累積額がイーブンになるのか。
65歳(10万円)で年金の受け取りを開始した人の累積額と70歳まで繰り下げ(14万2千円、42%増し)た人の累積額がほぼ同じになるのは、満81歳の時点だとわかります。 (緑太字部分)
さて、65歳で年金の受け取りを開始した人の累積額と75歳まで繰り下げ(18万4千円、84%増し)た人の累積額がほぼ同じになるのは、満86歳です。 (青太字部分)
さらに、70歳で繰り下げて開始した人の累積額と今回の改正案によりさらに5歳繰り下げて75歳で受給開始した場合、その累積額がほぼイーブンになるのは、満91歳になることがわかります。(赤太字部分)
91歳でようやく70歳繰下げの累積額に追いつくのであれば、91歳以上余裕で長生きできる自信がある方にとっては得と言えます。 91以降も安心ですね。
日本人の平均寿命が2018年調べで過去最高を更新し、女性は87.32歳 男性81.25歳となりましたが、この平均寿命を超えています。
日本人の平均寿命を超えて長生きできる自信がある人のみ、年金の受け取り年齢を75歳まで繰り下げる案は朗報と言えるでしょう。