繰り下げて請求する手もある – 65歳をすぎてから

今年67歳になる女性が事務所に見えました。彼女の場合、渡米前に日本では学生時代を含めて5年間だけ国民年金の保険料を支払っていました。

国民年金の受給資格は男女ともに満65歳になった月の翌月に発生するので、この方には過去に受けるはずであった2年分の年金がまとめて第一回目の年金の支給日に支払われます。

が、ここで彼女の質問は、「アメリカのソーシャル・セキュリティみたいに、67歳や70歳まで待ったら年金の額が増えるとか、無いんでしょうか?」

はい、日本の年金にもそれがあるのですよ。日本ではこれを「繰り下げ請求」と呼んでいます。年金を繰り下げて請求する場合、遡及(そきゅう)して支払われるはずであった過去の年金はもちろん支給されません。そのかわり、年金の額はパーセンテージ(%)で上がります。

以下、老齢基礎年金の繰り下げについて、昭和16年4月2日以後に生まれた方の場合で説明しましょう。

昭和16年4月2日以後に生まれた人(男女とも)については、繰り下げる月単位で年金額の増額があります。一度繰り下げたら、その増額率は一生変わりません。

増額率 = (65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までに月数)× 0.007

◇ 繰り下げ請求と増額率 ◇

請求時の年齢 増額率
66歳0ヵ月~66歳11ヵ月 8.4%~16.1%
67歳0ヵ月~67歳11ヵ月 16.8%~24.5%
68歳0ヵ月~68歳11ヵ月 25.2%~32.9%
69歳0ヵ月~69歳11ヵ月 33.6%~41.3%
70歳0ヵ月~ 42.0%

★ 注意点 ★
繰り下げによる年金は、請求された月の翌月分からの支払いとなります。
70歳に到達した日以後の繰り下げ請求は、請求時期にかかわらず70歳到達時点での増額率になり、70歳までさかのぼって決定され支払われます。
ただし(ここ重要)、平成26年4月1日より前に70歳に到達している方が、平成26年4月1日以降に遅れて請求した場合、平成26年5月分からしか年金が支払われないので注意が必要です。
アメリカに在住して80歳、90歳までご自分が日本の年金を受けられることを知らなかったという方は特にご注意下さいね。
また、繰り下げ請求は遺族が代わって行うことはできません。

繰り下げの待機中に請求者本人が亡くなられた場合で、遺族の方からの未支給請求が可能な場合は、65歳の本来請求で年金決定されたうえで未支給年金として支払われます。

※ これから日本の年金を受け始めようという方で、日本・アメリカの両方の年金を1ペニーも減額されることなく、しかも非課税で受けたい方は、私まぁこまで(連絡先は右サイド)ご相談下さいませ。 これからあなたが受けとる日本の年金が「WEP減額対象の非該当」となる申請を、SSA(米国社会保障省)に対して行います。