22年前、日本での話になります。 私はそのころ、司法試験に合格し埼玉県和光市にある司法研修所におりました。
やっと試験に合格した、ゴール!と思っていたところ、(今思い起こすに)真の法曹の学びはこの研修所からスタートしたのでした。 ここでようやく、「裁判実務に関する知識、能力や幅広い教養、深い洞察力を身に付ける」ことになる訳ですが、実感したことは3つ目の:
「深い洞察力」とは、試験合格前にすでに確定してる能力
だということです。
ある者は生まれながらに鋭い洞察力を備えていますし、またある者はそれまでの人生の中で鍛錬・修得した洞察力をもっていました。 同期で59歳・モト会社員まどぎわ族という男性が同研修所にいましたが、長い営業マン・人事マン人生の中で培った鋭敏な洞察力の持ち主でありました。
この人をどうディスクライブしたらよいのか? 嘘を見抜き、事件の整合性がとれていないところを突っつくというか、とにかくミステリ―な人物でした。
ともあれ、こういった能力は※1年や2年の修習期間中で、にわかに養えるものでないということを自身は痛感したわけです。
では、研修所においてその「深い洞察力」が自分には無いと悟ってしまった修習生にはどういう指導があったのか?
これは現場(げんじょう)、状況、環境をよく観察・把握して、依頼人の言うことを忍耐強く聞くことで補うしかありません。 ただ忍耐強く聞くだけでなく、そこで依頼人が言ってる中の何が事実で何がウソなのか(?)見抜くということです。
そうです。
依頼人はウソをつきます。
本人が意識しているかしていないかに関わらず、間違いなくウソをつきます。
肝心なのは、ウソをついているかどうかではなく、依頼人が
ウソをつかざるを得ない理由が背景にはある、それはなにか?
を発見できる、まさにこれが洞察力を補う能力だと思っています。
また、依頼人は質問されている内容が自身にとって都合が悪い場合、それには答えせん。
話をすり替えたり、あるいは言い訳を繰り返し(しかも早口で)ペラペラしゃべることがあります。 これこそが依頼人にとって「背景にあるなにか」なのです。
つい最近のことですが、厚生年金の加入記録(職歴)についてコンサルティングの依頼がありました。 この依頼人は自分の年金記録が消えている、【消えた年金】であると主張していました。
とにかく一方的にしゃべる、しゃべる、こちらが合いの手をうつ間もありません。 ひととおり話して落ち着いたところで、1つ単純な質問を投げかけました。
○○という名称の書類をもっているか?いないか?
この質問の返しは Yes か No のどちらかしかないはずです。
が、予想どおり、依頼人は「もっていません」とひとこと返せばいいものを、自分が持っていない言い訳を長々と主張し始めました。 「やっぱりね~」と思いましたが、話を遮るとそれまで日本年金機構や厚生労働省に対して向けられていた怒りがこっちに来る、怒らせると思い黙~って聞いておりました。
そこで思わぬ拾い物をしたのです。
この依頼人は離婚時に子供を引き取って実家に戻っていたのですが、父親の扶養家族として父の健康保険に母子ともに加入していました。 その後に再就職しましたがその勤め先で「父の健康保険に私も子供も扶養家族として入っていますから、健康保険は不要です」と社会保険制度の加入を自ら拒否していたのです。
それ、【消えた年金】じゃね~し
もう、脱力です。 まいった。
健康保険と厚生年金保険の加入は通常セットだ、ということをこの人は知らなかったのですね。
就職して社会人になり、結婚・離婚して子供と実家にもどり、再就職した年齢の時に。
もちろん、この健康保険の加入を辞退した期間の厚生年金制度加入期間を、私なら復旧・訂正できます。 健康保険に入らないと拒んだからといって、厚生年金制度に加入することまで拒否したことにはならない、という方向に私なら持って行けるからです。 ほかのどんな弁護士でも無理。
が、この依頼人は私とのヴィデオ・コンサルティングをキャンセルしてきましたので、厚生年金の加入記録を復旧することができませんでした。 このことは残念です。
※司法修習期間は、1998年4月修習開始まで – 2年、1999年4月修習開始から2005年4月修習開始まで – 1年6か月、2006年4月修習開始から – 1年4か月 現在は1年に短縮されています。
※ これから日本の年金を受け始めようという方で、日本・アメリカの両方の年金を1ペニーも減額されることなく、しかも非課税で受けたい方は、私まぁこまで(連絡先は右サイド)ご相談下さいませ。(有料)SSA(米国社会保障省)に対し、あなたが受けとる日本の年金がWEP減額対象から外れていることを確認・申請します。