日本人の9割が知らない、年金の真実

アマゾンや日系の書店でこの手の本を見かけても、

私の方が著者より知っている、なんなら書き直してあげようか?

と手にすることがなかったのですが、この本のタイトルに「2022年新年金制度対応」と書いてあったのが目にとまり、「まあ、1行くらいはネタになることが書いててもいいんじゃない?」 と思って読んでみました。

予測どおり、この「日本人の9割が知らない、年金の真実」の内容の99%のことは、既に当サイトに書かれています。 なので、おさらいという形でこの本に書かれている

年金に関する勘違い3つを解説しましょう!

間違い1.年金財政は赤字である

はい、これマチガイ! 日本の財政の一般会計は赤字ですが、年金の財政は赤字ではありません。 年金の財政も国の一般会計と一緒になって考える日本人が多い(もしや、あなたも?)ようですが、年金の会計は年金特別会計と言って一般会計とは別に収支をお会計しています。

この年金特別会計は、毎年黒字です。 しかもこの年金特別会計の中の年の積立金は2019年度末に190兆円となっています。

年金財政はお金持ちなのです。

間違い2.年金の運用は赤字である

これもウソですね。 年金の積立金の運用は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)によって行われていますが、黒字も黒字。 その累積収益額は2022年現在

100.3兆円です。

このことは過去ログの:

2019年第2半期報告【年金積立金管理運用独立行政法人 GPIF】2020年1月

【年金積立金管理運用独立行政法人】年金の財源 (GPIF) 2020年9月

年金はどこからくるの?(年金資産の運用・投資)2021年10月

財布のひもの真実 ねんきんの財源 Part I 2022年5月

にて詳しく書いておりますので、上の記事でGPIFってどんなところなのか(?)ご覧になって下さい。

とにかく、年金積立金はたっぷりあるのです。

日本のマスコミは、事件が起こらないととりあえず年金にスポットを当てて、街を歩いている高齢者を呼び止めインタビューして不安材料を探します。 街頭の年金受給者の「年金額が減った、老後が心配」という言葉だけを拾い集めて視聴者、とくに若年層の不安をあおったりします。

皆さんは、こんなゴミ番組・報道の餌食になってはいけません。

間違い3.少子化高齢化が進み年金は崩壊する

少子化と高齢化が進むとき、年金の心配をする人はまず、「65歳以上の人ひとりに対し、65歳未満のひと何人で支えるか?」を議論することが多いのですが、「これがそもそも間違い」だと大江英樹氏(著者)は言っています。

過去50年、65歳未満でも働いていない人(失業中・学生・専業主婦など)はいました。 現在は65歳未満の非就業者は減り、かつ65歳以上でも就業して税金・社会保険料を支払っています。 保険料の納付率は50年前の倍まで向上しました。

注目すべきは、「1人の就業者が何人の非就業者を支えているのか?」 

です。 これを調査したところ:

  • 1970年 1.05人
  • 1990年 0.96人
  • 2020年には 0.89人 となり、

むしろ改善している!

のです。

若年層が高齢者(年金受給者)を支えるのではなく、就業者が非就業者を支えていることに着目すべきです。

専業主婦が50年前に比べると半減し、65歳になってもバリバリ現役で働く人が倍増している今日、日本の年金制度はより健全な方向へむかっていると言わざるを得ません。

次に、最重要課題、実は私が最も解説したかったのがこれです。

【絶対に買ってはいけない!】個人年金保険

そもそもマスコミが視聴者に向けて、年金に関する間違った考え方を植え付け不安をあおっているのは、公的年金以外の年金、個人年金(私的年金)を売りつけるためです。

各保険会社がさかんに宣伝しているアノ、都合よく「年金」という言葉を巧みに入れた保険商品のこと。 保険会社によって【保険型個人年金】あるいは【個人年金保険】など呼称は変えていますが、コレどれも詐欺です。

保険会社がスポンサーになっているテレビ番組では、日本の公的年金がいかに危ういかしきりに放送してますが、提供の会社を確認してみて。 CM(コマーシャル)は保険の会社になってるでしょ!?

インターネット上でのWeb広告バナーなど、アメリカ在住者のためのサイトには必ずと言っていいほど保険会社の個人年金保険のセミナーとか広告が目立ちます。

個人年金保険屋さんのセミナー【参加費無料】

この言葉にまどわされませんように。

さて、著者の結論から言います、「年金」という言葉の入っている保険商品は全部危ない、ということ。

年金式に分配が受け取れる投資信託

と言った商品もまた危ない!

そもそも、1~3に挙げた年金に関する間違った考え方を鵜呑みにしている人にとって、

鴨:「公的年金はあてにならないから、自分でなんとかしなければ、、、そうだ個人年金保険に加入しよう!」

という(私から見るとミエミエなウソなのに)秀逸なネーミングですね。

どこが詐欺なの? 損なの?

どの保険会社の「年金」という名前が入った商品にも、返戻率(へんれいりつ)というのがあります。

この返戻率とは、支払った保険料に対して将来受け取れる保険金の額の率を言います。 保険料1万円を支払って30年の個人年金保険に加入したとして、30年後にもらえる保険金が1万円だった場合、返礼率は100%(1:1で変わらず)です。

日本の保険会社の【保険型個人年金】や【個人年金保険】など年金の名前が入った商品の返礼率は、どの会社も105~106%です。

これ聞いて、「年に6%も増えるのか、いいね!」といま思った人、もろに鴨です。

この6%は年利ではありませんよ。 1万円支払って30年後にもらえるお金が10,600円ということです。 30年も待って6百円しか増えないのですよ。

これを年利で計算すると、年0.04%に満たないのです。 これって日本の各銀行の定期預金より低い金利となり、実質損していることになります。 だって30年前に1万円で買えた物が、いま1万600円で買えますか?

30年前は消費税3%が始まった直後。 自販機で(消費税込み)100円で買えたジュースが今106円では買えないでしょ!? 120円、130円になっているはず。

私がこの年金ブログに開始した当初、当サイトには一般の広告(Google Adsense) が出ても良いように設定していました。 ところが、上のような「年金という名のついた保険」の広告がドッと掲載されました。

このような広告を見て保険会社の個人年金を検討するような人を出してはなるまい、と思いたち、現在は広告を一切ブロックしています。

※これから日本の年金を受け始めようという方で、日本・アメリカの両方の年金を1ペニーも減額されることなく、しかも非課税で受けたい方は、私まぁこまで(連絡先は右サイド)ご相談下さいませ。 これからあなたが受けとる日本の年金が「WEP減額対象の非該当」となる申請を、SSA(米国社会保障省)に対して行います。