意外と知らないソーシャル・セキュリティ(アメリカ)のこと – その2

ソーシャル・セキュリティそのほかの特徴

日本の年金とは比較にならないほど、アメリカ年金制度(ソーシャル・セキュリティ)は苦しい”台所事情”を抱えています 。

日本では1997年に基礎年金番号が導入され、公的の年金加入者の管理が基礎年金番号で行われるようになりました(共済制度の加入者は対象外です)が、アメリカではずーっと昔、1935年に社会保障番号制度が導入され、出生と同時に1人に1つの社会保障番号が付与されています。

皆さんのように移民の場合にも、ヴィザ、永住権、市民権を得ると必ず社会保障番号が付与されますね。

年金情報の管理も社会保障番号によって行われ、アメリカの社会保障庁(SSA)は、25歳以上の勤労者全員に年1回、加入記録と退職時のソーシャル・セキュリティの受給予想額を通知*します。通知された内容に誤りがある時は、社会保障庁に訂正を求める手続きを取ります。

日本の公的年金制度は、社会「保障」ではなく、飽くまでも社会「保険 Insurance」です。100円の保険料を納付したら1万円が支給される、かけ金の100倍以上の年金を受け取るしくみになっています。

これに対し、アメリカのソーシャル・セキュリティは1ドルの税金を支払ったら40年後に8ドルってくる機能しかありません。(約8倍)ですから、保険ではなく「保障 Security」と呼んでいるのです。

「最低パンとミルクは買えますよ」程度の金額です。この辺の日本とアメリカ年金の額の差については:

日本の年金はアメリカのソーシャル・セキュリティの11倍強(2010年度版)

をご覧ください。

また日本の年金制度では、保険料の免除制度(全額・4分の1・半額・4分の3免除など)があり、国庫で負担する仕組みになっており、収入がない人でも将来の年金が確保できる制度に整っています。

これに対して、アメリカの公的年金制度はあくまでも社会保障なので、「働く人」を対象としており、報酬に応じた保険料を納め、納めた保険料に応じた年金を受け取るしくみになっています。

もともとアメリカでは、退職後の所得は公的年金だけでなく、企業年金などの「職域年金」、私的に準備した「個人年金・貯蓄」の「三本脚の椅子」で支えるという考え方が一般的で、老後の収入の中心を公的年金とする日本とは、考え方に違いがあります。

現在、日本とアメリカの間では社会保障協定が締結されていて、アメリカで働く日本人あるいは日本で働くアメリカ人は日米どちらかの年金制度に加入することになり、年金加入期間は日米の期間が原則通算されます。

日米間の社会保障協定の詳細は:

日米間社会保障協定(2005年10月1日発効・8月23日)

アメリカの公的年金制度も財政状況は非常に厳しい状況です。1993年(クリントン政権時代)から年金改革がずっと議論されていますが、いまだに結論が出ず、国の借金は増える一方です。

現在のトランプ大統領の代でも、これがアメリカ人雇用の確保の次くらいに頭の痛い問題であると考えられます。

*郵便での通知は現在は行っていない。社会保障庁のオフィシャルサイトに個々のアカウントを開き、インターネット上で本人にのみ表示している。